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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(30)

2011年3月11日14時46分頃(日本時間、以下同じ)、東北地方の太平洋沖(北緯38.32°、東経142.37°、深さ32km)を震源とする、国内観測史上最大となるマグニチュード9.0の地震(東日本大震災)が発生しました(地震の規模・位置については米国地質調査所(USGS)による発表を参照)。この地震の影響で発生した津波は、東北から関東にかけての沿岸地域に甚大な被害を与えました。また、その後も海域・内陸に震源を持つ地震が頻発し、各地で大きな揺れと被害が報告されています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2011年3月11日の大地震以降、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のLバンド合成開口レーダ(PALSAR;パルサー)による現地観測を継続して実施してきました。本観測では、2011年4月1日(パス402)及び同年4月6日(パス405)に行われたPALSAR観測の結果を、それぞれ地震前に同じ軌道から取得した画像と比較し、東日本大震災に伴った地殻変動の検出を試みました。

青枠はパス402の観測領域を、水色枠はパス405の観測領域を示します(観測結果は図2)。赤い星印は東日本大震災の震央位置を示しています。
図1: 全体図(数値標高データはSRTM3を使用)
図1: 全体図(数値標高データはSRTM3を使用)
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東日本大震災に伴う地殻変動を検出するため、地震前後に取得したPALSARデータの差分干渉解析(DInSAR解析)を行いました。図2左は地震前後のPALSARデータから得られた差分干渉画像(地殻変動図)、図2右は地震後に観測されたPALSAR画像です。図2左の差分干渉画像中、広範囲に渡り多くの干渉縞(虹色の縞々)が確認できます。東京で約20cm、千葉県、茨城県でも30~50cm程度の地殻変動があったことが分かり、今回の地震が非常に規模の大きなものであったことが分かります。また、震央に近い海岸部では干渉縞が混んでおり、これは大きな地殻変動があったことを表しています。この干渉画像から、牡鹿半島の先端で少なくとも4m程度の衛星から遠ざかる地殻変動(主に沈降や東方向へのずれを含む地殻変動)があったことがわかります。
図2: (左)PALSAR差分干渉画像(地殻変動図)。右上はパス402、左下はパス405の観測結果を表す。 (右)地震後に観測されたPALSAR画像。
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図2: (左)PALSAR差分干渉画像(地殻変動図)
(右)地震後に観測されたPALSAR画像

JAXAでは今後も「だいち」による当該地域への観測を継続していく予定です。

*1 パルサー(PALSAR):

フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ。衛星から発射した電波の反射を受信するマイクロ波レーダで、夜や曇天時も撮像が可能です。

*2 差分干渉処理:

PALSARは『2つのデータ取得時(例えば地震の前と後)における衛星-地面間の距離』に変化があった場合、それを高い精度で検出することが可能です。地震前後のデータを比較すると、地震によって発生した地面の隆起や沈降などの地殻変動は、衛星-地面間の距離の差となり、画像では干渉縞として表わされます。本例では、青→緑→黄→赤→青の色の変化は地面が衛星に近づくことを、逆の色の変化は地面が衛星から遠ざかることを表します。(今回の観測では画像の西側から東側に向けて観測しているので、地面が衛星に近づく場合は西向きの水平変動もしくは隆起を、地面が衛星から遠ざかる場合は東向きの水平変動もしくは沈降、を意味します)。なお、色の一周期は11.8cm分の距離変化(地殻変動;変動量は画像内での相対的な値)を表します。

図3: これまでに実施した地殻変動観測の結果(昇交軌道のみ)
図3: これまでに実施した地殻変動観測の結果(昇交軌道のみ)
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