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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(15)
2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0と推定される地震が起こりました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年3月12日、3月14日、3月16日、3月17日、3月19日に引き続き3月20日10時58分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により、現地の緊急観測を実施しました。20日の観測では、広い範囲が雲で覆われていましたが、青森県および岩手県北部海岸の様子が確認できました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲です。
図2は八戸港付近の地震発生前(2011年2月23日)と地震発生後(2011年3月20日)の画像から被災状況を確認した画像です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)、雲・雪(白色)、水域(濃色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができます。黄色い枠内の防波堤が津波の被害を受け、損壊している様子が確認できました。
図7は地震後の2011年3月19日と地震前の2011年3月10日に観測された画像から、岩手県宮古市田老地区を拡大したものです。黄枠内に田老堤と呼ばれている高さ10mの防潮堤が見えますが、報道にあるとおり津波が田老堤を越えて内陸側の建物を倒壊させた様子が分かります。
取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁、地方自治体等に提供しています。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は東側に42度で取得しました。
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