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「フォルモサット・ツー」(FORMOSAT-2)による東日本大震災の緊急観測結果

2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0と推定される地震が起こりました。宮城県栗原市で震度7、仙台市で震度6強、東京都で震度5強が観測されるなど、広範囲で強い揺れが観測されました。また、同日15時15分頃に茨城県沖でマグニチュード7.4の地震が発生するなど、余震も相次いで起こっています。この地震の影響で発生した津波は、震源に近い東北地方の太平洋側では最大で10メートル以上の高さに達したと見られ、沿岸地域に甚大な被害を与えています。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)ではセンチネルアジア※の枠組みを通して提供を受けた台湾の国家実験研究院(NARL)のFORMOSAT-2 (フォルモサット・ツー)により2011年3月12日(水)9時15分頃に東北地方を観測したデータの解析を実施しました。 また、国家実験研究院が本データと地震発生前日のデータ比較した解析結果を示します。

センチネルアジア:

センチネルアジアはアジア太平洋地域の災害管理に資するため地球観測衛星画像から得られる災害関連情報を共有する活動です。JAXAをはじめとするアジア太平洋地域の宇宙関係機関、アジア防災センター(ADRC)をはじめとする防災関係機関、国連アジア太平洋経済社会委員会(UNESCAP)をはじめとする国際機関、および大学、研究所などが協力して推進しています。得られた衛星画像、解析結果などは上記のWebサイトに公開されています。また、WebサイトのGISにより各種の関連災害情報をGISで表示・解析することが可能です。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、フォルモサット・ツーの3バンドを合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲ですが、雲の隙間から市街地や農耕地が冠水している様子を確認することができました。
図1: 仙台市周辺画像 (クリックで拡大画像へ)
図1: 仙台市周辺画像
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観測日時: 2011年3月12日9時15分頃(日本時間) センサ: FORMOSAT-2(フォルモサット・ツー) 黄色枠:図2、図3の範囲

図2は災害後の2011年3月12日および災害前の2011年1月16日に観測された画像です。雲の影との区別は難しいところもありますが、特に、画像上部の暗い領域が津波により冠水していると考えられる箇所です。
図2: 仙台市、名取市の冠水の様子
図2: 仙台市、名取市の冠水の様子

左: 災害後(2011年3月12日)、右: 災害前(2011年1月16日)

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図3は災害後の2011年3月12日に観測された画像です。暗い領域が津波により冠水していると考えられる箇所です。
図3: 岩沼市、亘理町付近の冠水の様子(2011年3月12日)
図3: 岩沼市、亘理町付近の冠水の様子(2011年3月12日)
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なお、FORMOSAT-2データは、内閣府防災及び国交省河川局へ提供されました。
JAXA EORC