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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(7)

2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0と推定される地震が起こりました。

宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年3月12日に引き続き3月14日10時11分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により、現地の緊急観測を実施しました。14日の観測は、ほぼ全域に渡り雲のあまりない画像が撮れました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲です。
図1: 今回観測した画像全体
図1: 今回観測した画像全体
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観測日時: 2011年3月14日10時11分頃(日本時間)

センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)

ポインティング角: -23°

黄色枠: 図2~12の範囲

図2は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から福島県相馬市小高区付近を拡大したものです。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と雲(白色)が明瞭に区別できるため、地表面の様子をとらえることができます。田畑が広域にわたり冠水している様子(災害後紺色に変化)が分かります。
図2: 福島県南相馬市小高区付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)
図2: 福島県南相馬市小高区付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)

左:地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

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図3は地震後の2011年3月16日と2011年3月14日、地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県浪江町請戸港付近を拡大したものです。依然、海岸線沿いの田畑が広域にわたり冠水している様子が分かります。
図3: 福島県浪江町請戸港付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)
図3: 福島県浪江町請戸港付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

図4は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県楢葉町付近を拡大したものです。川沿いおよび海岸線沿いの田畑が冠水している様子(災害後に濃色に変化)が分かります。
図4: 福島県楢葉町付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)
図4: 福島県楢葉町付近の冠水の様子(約6km×6kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

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図5は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県いわき市久之浜付近を拡大したものです。黄枠内の堤防が壊れている様子と複数の建物が倒壊している様子が分かります。
図5: 福島県いわき市久之浜付近の冠水の様子(約3km×3kmのエリア)
図5: 福島県いわき市久之浜付近の冠水の様子(約3km×3kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

図6は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県いわき市八幡町付近を拡大したものです。黄枠内で複数の建物が倒壊している様子が分かります。
図6: 福島県いわき市八幡町付近の様子(約3km×3kmのエリア)
図6: 福島県いわき市八幡町付近の様子(約3km×3kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

図7は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県いわき市勿来付近を拡大したものです。黄枠内の河口部分が流されている様子および海岸線沿いの平野部の冠水の様子が分かります。
図7: 福島県いわき市勿来付近の様子(約5km×5kmのエリア)
図7: 福島県いわき市勿来付近の様子(約5km×5kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

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図8は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、福島県いわき市小名浜付近を拡大したものです。黄枠の平野部に冠水の様子が見られます。
図8: 福島県いわき市小名浜付近の様子(約5km×5kmのエリア)
図8: 福島県いわき市小名浜付近の様子(約5km×5kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

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図9は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県北茨城付近を拡大したものです。黄枠内の堤防が決壊している様子が分かります。
図9: 茨城県北茨城付近の様子(約3km×3kmのエリア)
図9: 茨城県北茨城付近の様子(約3km×3kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

図10は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県東海村付近を拡大したものです。黄枠内の堤防がなくなっている様子が分かります。
図10: 茨城県東海村付近の様子(約3km×3kmのエリア)
図10: 茨城県東海村付近の様子(約3km×3kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

図11は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県大洗付近を拡大したものです。画像左下の砂浜の冠水の様子が分かります。
図11: 茨城県大洗付近の様子(約2km×2kmのエリア)
図11: 茨城県大洗付近の様子(約2km×2kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

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図12は地震後の2011年3月14日および地震前の2011年2月23日に観測された画像から、茨城県鹿行大橋付近を拡大したものです。崩落した鹿行大橋の様子が分かります。(上部は建設中の新橋)
図12: 茨城県鹿行大橋付近の様子(約1km×1kmのエリア)
図12: 茨城県鹿行大橋付近の様子(約1km×1kmのエリア)

左: 地震後(2011年3月14日)、右:地震前(2011年2月23日)

取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁並びに地方自治体等に提供しています。

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側に23度で取得しました。

JAXA EORC