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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)による東日本大震災の緊急観測結果(8)
2011年3月11日14時46分頃、東北地方の太平洋沖で国内観測史上最大となるマグニチュード9.0と推定される地震が起こりました。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2011年3月12日、3月14日に引き続き3月16日9時54分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により、現地の緊急観測を実施しました。3月16日の観測は、三陸海岸付近は雲に覆われていましたが、福島県沿岸付近を確認することができました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雪や雲です。図8は地震後の2011年3月16日と2011年3月14日の画像全体の様子を示した図です。 黄枠内では、津波の影響と思われる漂流物を確認することができます。
取得された画像は、内閣府を始めとする防災関係省庁並びに地方自治体等に提供しています。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、震災後の2011年3月14日12時50分頃(日本時間)に温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)*2搭載の雲・エアロソルセンサ(TANSO-CAI)で東北地方海岸部を撮影しました。観測衛星:温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)
センサ:雲・エアロソルセンサ(TANSO-CAI)
左: 2011年3月14日12時50分頃、右: 2011年2月27日12時50分頃(日本標準時)
図9左図は地震後の2011年3月14日に観測された画像、右図は震災以前の2011年2月27日に取得された画像を示します。3月14日の観測では、雲で覆われてない地域にて、宮城県の津波によると考えられる被災地域が確認できました。本画像はTANSO-CAI*3の紫外・可視域の3つのバンドを用いた合成画像(擬似カラー)になります。また、赤の線は海岸線、湖沼境界線を示します。北部の石巻周辺・北上川流域、 南部の相馬・新地周辺域において、画像の黒くみえるところが海岸線を越えた津波により冠水している領域だと考えられます。*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、衛星進行方向に対して東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側に42度で取得しました。
*2 温室効果ガス観測技術衛星(いぶき(GOSAT): Greenhouse gases Observing SATellite):
主要な温室効果ガスである二酸化炭素とメタンの濃度を宇宙から観測することを主目的とした世界初の衛星です。2009年1月23日に打ち上げが成功し、現在も順調に観測を続けています。GOSATプロジェクトは、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、国立環境研究所(NIES)、環境省(MOE)が共同で推進しています。
*3 TANSO-CAI
TANSO-CAIは、温室効果ガス測定の誤差要因となる雲やエアロソルの観測を行い、温室効果ガスの観測精度を向上させるために搭載されたセンサです。