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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン豪雨被害の冠水域算出結果

中央アジアのパキスタンにおいて、2010年7月末から起きた集中豪雨により洪水などの大きな被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により、災害直後から継続して現地の観測を実施してきました。今回、被害の大きかったインダス川流域について、災害前後の観測画像の中から雲の少ない画像を結合して冠水面積を算出しました。

図1は災害後の結合画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。
図1:災害後の結合画像
図1:災害後の結合画像 取得日時: 2010年8月20日~2010年9月30日 センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
図2は結合した観測画像をアニメーション表示したもので、約1秒間隔で災害前後の画像、冠水域抽出画像が切り替わります。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(水色および青色)が明瞭に区別できます。約2ヶ月間の観測期間はありますが、インダス川の中流から下流にかけて特に冠水域が大きいことが分かります。
拡大画像
図2: 災害前後および冠水域抽出のインダス川流域アニメーション
図2: 災害前後および冠水域抽出のインダス川流域アニメーション (約1秒間隔で災害前後および冠水域抽出の画像が切り替わります)

また、災害前後の画像から冠水域を算出したところ、少なくとも約24,000km2の領域が冠水したことが分かりました。これは、東京都の約11倍の面積になります。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。

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