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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨被害の観測結果(9)
中央アジアのパキスタン北部において、2010年7月末から起きた集中豪雨によりパキスタン国内の広範囲において洪水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、被災地域の継続調査として、9月23日15時4分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の観測を実施しました。
図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。拡大画像
図3: サッカル付近の河川増水の様子(約15km×15kmのエリア)
左:災害後(2010年9月23日)、中央図:災害後(2010年8月23日)、右:災害前(2010年3月23日)
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図4: ハイダラーバード付近の河川増水の様子(約30km×30kmのエリア)
左:災害後(2010年9月23日)、中央図:災害後(2010年8月23日)、右:災害前(2010年3月23日)
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図2~図4は災害後の2010年9月23日、2010年8月23日と災害前の2010年3月23日に観測された画像から、河川の増水および氾濫と思われる箇所を拡大したものです。図2はカンドコート付近(首都イスラマバードから南南西約650km)、図3はサッカル付近(首都イスラマバードから南南西約700km)、図4はハイダラーバード付近(首都イスラマバードから南南西約1200km)です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と浸水域(水色および青色)が明瞭に区別できます。災害前後で比較すると冠水域は、依然広範囲に広がっていますが、災害後の9月23日と8月23日を比較すると、冠水域の中にも陸地や植生を確認できるようになっていることから、水位が下がりつつある様子がわかります。また図2の黄色枠において、市街地の浸水水位も少しずつ引いているのがわかります。
なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。
*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):
青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。なお、2010年9月23日、2010年8月23日と2010年3月23日の画像は、それぞれ0度、東方向に31.2度、0度で取得しました。
関連情報
光学センサ
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