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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨の緊急観測結果(3)

中央アジアのパキスタン北部において、2010年7月29日から起きた集中豪雨により洪水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では2010年8月6日15時18分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*1により現地の緊急観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。明るい白色は雲ですが、雲の隙間から河川の増水や農耕地が冠水している様子を確認することができました。
図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体
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観測日時: 2010年8月6日15時18分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 38° 黄色枠: 図2、図3の範囲

図2、図3は災害後の2010年8月6日および災害前の2009年10月2日、10月14日に観測された画像から、冠水している箇所を拡大したもので、それぞれShadan Lund(首都イスラマバードから南南西約360km)とAlhara Hazari(同, 約260km)付近です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(明るい灰色)が明瞭に区別できるため、冠水域を明確にとらえることができます。図2および図3の災害前後画像から、農耕地が非常に広範囲に冠水していると考えられます。
図2: Shadan Lund付近の河川増水の様子(約18km×18kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月6日)、右図:災害前(2009年10月2日)
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図3: Alhara Hazari付近の河川増水の様子(約18km×18kmのエリア) 左図:災害後(2010年8月6日)、右図:災害前(2009年10月14日)
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JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側から38度で取得しました。

JAXA EORC