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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるパキスタン集中豪雨被害の観測結果(7)

中央アジアのパキスタン北部において、2010年7月29日から起きた集中豪雨により洪水などの被害が発生しました。宇宙航空研究開発機構(JAXA)では、2010年8月3日、8月5日、8月6日、8月15日、8月23日、9月1日に観測を行った当該地域の継続調査として、9月6日15時7分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*により現地の観測を実施しました。

図1は今回観測した画像全体の様子を示したもので、アブニール・ツーのバンド3, 2, 1を合成したトゥルーカラー合成画像で表示しており人の目で見た色に近くなっています。
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図1:今回観測した画像全体
図1:今回観測した画像全体

観測日時: 2010年9月6日15時7分頃(日本時間) センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー) ポインティング角度: 0° 黄色枠: 図2、図3の範囲

図2および図3は災害後の2010年9月6日と災害前の2009年12月4日に観測された画像から、河川が増水している箇所を拡大したものです。図2はKashmore付近、図3はDera Ismail Jhan付近の画像です。アブニール・ツーのバンド4, 3, 2を合成したフォールスカラー画像で表示しており、植生(赤色)と冠水域(水色)が明瞭に区別できます。災害前後の画像を比較すると、河川の大幅な増水と農耕地が広範囲に渡って未だ冠水している様子を確認できます。
図2: Kashmore付近の河川増水の様子(約70km×70kmのエリア) 左:災害後(2010年9月6日)、右:災害前(2009年12月4日)
図3: Dera Ismail Jhan付近の河川増水の様子(約18km×18kmのエリア) 左:災害後(2010年9月6日)、右:災害前(2009年12月4日)

なお、JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*1 高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー):

青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。なお2009年12月4日と2010年9月6日の画像は、それぞれ0度で取得しました。

JAXA EORC