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地球が見える 2009年

世界最大の『砂の島』は自然の宝庫、フレーザー島、オーストラリア

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図1 フレーザー島
(Google Earthで見るフレーザー島(kmz形式、7.12MB、低解像度版))

『砂の島』フレーザー島

図1は、2008年9月に捉えたフレーザー島の画像です。オーストラリア東海岸中央に位置するこの島は、実は砂で出来ています。14万年以上もの昔、オーストラリア東海岸から豪雨によって削り取られた砂(最近では、南極大陸を起源とする説もあります)が、東方沖に堆積して、世界最大の『砂の島』が誕生したと考えられています。
オーストラリア第3の都市、ブリスベンの北方約250 kmに位置し、南北約120 km、東西約25 kmの大きさの島です。面積は約184,000 ha で、大阪府(日本国内で二番目に小さな都道府県で面積約190,000 ha)より少し小さい広さです。画像では、島の大部分が緑色に見えますが、表面が熱帯雨林で覆われているためです。島の周囲に延々と伸びる砂浜、点在する砂丘が白く見え、島が砂で出来ていることがうかがえます。
この森の中には数多くの野生動物が暮らしています。オーストラリアの野犬の一種ディンゴ、小型カンガルーのワラビー、数百種におよぶ野鳥、この貴重な自然環境から1992年、世界自然遺産に登録されました。また、オーストラリア東海岸とフレーザー島に挟まれたグレートサンディー海峡は、ラムサール条約によって世界の重要な湿地のひとつとして登録されています。

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図2 フレーザー島中央部の拡大図

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  1. 図3 マッケンジー湖
  2. 図4 ウォビー湖


『砂の島』の自然の謎

砂で出来た島は、熱帯雨林で覆われ、100を超える淡水湖を持ち、多くの小川が流れています。これは、大量の砂が巨大なスポンジの役割を果たし、雨水を地下水層に蓄えているからです。地下には、砂であるにもかかわらず十分な水があり、豊かな熱帯雨林が発達したのです。
フレーザー島では、湖がパーチド・レイク、バラージ・レイク、ウィンドウ・レイクの3種類で呼ばれています。パーチド・レイクは「地下水面より高い位置にある湖」です。純白のシリカサンドとコバルトブルーの湖水を持つ美しい湖は、砂丘の中のくぼみに出来た水はけの悪い層(コーヒーロックと呼ばれています)に、雨水がたまって出来ました。マッケンジー湖(図3は拡大図)は世界有数の透明度を誇ります。また南部のブーマンジン湖は世界最大のパーチドレイクです。
バラージ・レイクは「せき止め湖」です。小川の流れが、移動する砂丘によりせき止められ出来上がります。ウォビー湖(図4は拡大図)が代表例で、砂丘の端にあります。ウィンドウ・レイクは「窓のような湖」で、風雨によって削られたくぼみが地下水面より低くなってできる湖です。小さいので画像では見えませんが、水面が窓をのぞくように見えることからこのようにに呼ばれます。
フレーザー島の地下に蓄えられた大量の水は、島のいたる所から湧き出しています。この水は、澄んだ淡水の小川となって東西の海岸に流れ出します。東海岸で最大のイーライクリークでは、毎時およそ420万リットルの水が流れています。

『砂の島」は生きている

現在も島の東側に点在する砂丘は活発に動いています。南東からの風が砂を巻き上げ砂丘を形成しながら森を覆っていくからです。年間約1メートル、内陸に向かって移動する砂の動きによって古い森が姿を表すこともあります。アボリジニが使っていた石器が発見された砂丘はストーントゥール・サンドブロー(石器砂丘)と名付けられています。

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図5 インディアン・ヘッド

『砂の島」の直線の海岸

島はほとんどが砂で形成されていますが、東海岸北部にのみ岩場が3か所あります。その一つ、インディアン・ヘッドは高さ60 mの切り立った岩の岬です。太古の火山活動で出来た火成岩ですが、ここから南に向かって、75マイルビーチと呼ばれるほぼ直線の海岸が100 km以上続いています。砂浜を走行する4WD車には道路法規が適用される上、小型飛行機も離着陸します。

『砂の島」エコツーリズム

エコツーリズムとは、地域の自然環境を保全するために、観光を通じて、その利益を環境保全に還元する仕組みです。オーストラリア政府は、世界的にも早い段階でエコツーリズムを積極的に推進しました。環境に配慮したエコリゾート、訪問者への環境教育も兼ねた各種エコツアー等、フレーザー島はオーストラリア・エコツアー認定プログラムで上級に認定されています。



観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)(図1〜5)
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)(図3、4)
観測日時: 2008年9月28日23時45分頃(世界標準時)(AVNIR-2)(図1〜5)
2007年6月 8日00時02分頃(世界標準時)(PRISM)(図3、4)
地上分解能: 10m(AVNIR-2)および2.5m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

緑色: 熱帯雨林
明緑色: 草地
青: 水域
白:

(図3、4)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図1、2はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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