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地球が見える 2007年

世界最大級の一枚岩ウルルと巨大奇岩群カタ・ジュタ:オーストラリア

図1 ウルルとカタ・ジュタ周辺
(Google Earthで見るウルル・カタジュタ (kmz形式、1.04MB、低解像度版))
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載のパンクロマチック立体視センサ(PRISM)が2006年8月と9月に捉えたウルル(エアーズ・ロック)とカタ・ジュタ(オルガ)岩群周辺です。先住民族アボリジニの言葉でそれぞれウルル(偉大な石)、カタ・ジュタ(多くの頭)と呼ばれ共に聖地として崇められてきました。アボリジニの神話にも頻繁に登場します。エアーズ・ロックという名称は1873年の発見時、当時の南オーストラリア州首相ヘンリー・エアーズ卿にちなんだものですが、1980年代ごろからはアボリジニの呼称であるウルル、カタ・ジュタが正式名称として使われ始めました。
図1右側の明るい所がウルルで、地上からの高さ約350 m、周囲約10 kmにも及ぶ世界最大級の一枚岩です。図1左側の明るい所がカタ・ジュタでウルルとは約30 km離れています。36の巨大な奇岩群からなり、一番高いオルガ山は高さ546メートルにも達します。日本ではあまりなじみがありませんが、その大きさと迫力は一枚岩のウルルとはまた違った魅力があります。
公園北側にあるユララ(エアーズ・ロック)・リゾートは宿泊施設が集められた町で、ウルル、カタ・ジュタ観光のための宿泊はここでしかできません。一番近い都市、アリススプリングスとは約450 km離れていて、プロペラ機だと40分、バスだと約5時間もかかります。ユララ(エアーズ・ロック)・リゾートの北にはコネラン空港が見えています。

図2 ウルル拡大図
ウルルは、上空から見ると図2のように砂漠の中にぽつんと存在する巨大な岩であることがよくわかります。ウルルは、地上から見ると丸いテーブルのようですが、左上から右下に向かって斜めに地層の縞模様が見える複雑な形をしています。
ウルル周囲に見える太い線は周回道路で、細い線は観光用の歩道です。ウルルの周り9.4 kmを約4時間で一周できる『サーキット・ウォーク』では岩肌に残るアボリジニ・アートやアボリジニの人々が崇拝する岩などを見学することができます。その一部だけを1時間ほどで歩く『マラ・ウォーク』や『ムティジュル・ウォーク』ではアボリジニのロック・アートが見られます。
ウルルには登岩口が1ケ所ありますが、アボリジニの人々にとって聖地であり神の山でもあるため、パンフレットやホームページには登ることをやめて欲しい旨記述されています。
片山恭一の青春恋愛小説『世界の中心で、愛をさけぶ』では登場人物のひとりがアボリジニの世界観に惹かれ、中でも神聖なる地“ウルル”に憧れていたという設定でした。映画そしてドラマ共に、実際にオーストラリアでロケが行われたそうです。
ウルル−カタ・ジュタ国立公園の公式ホームページによると、ウルルの一枚岩は長石を多く含む、粒の粗い花崗砂岩で、カタ・ジュタの岩は丸い小石、玉石、巨礫が砂や粘土で固められた礫岩(れきがん)でできているとのことです。この場所はかつて浅い海で、およそ9億年前にできた地殻の窪みに数億年にわたって堆積物が積もり、その後の2回の造山運動や再び浅い海となった時の堆積などを経た後、風雨の浸食を受けて6,500万年前ころにウルルとカタ・ジュタの岩々が削り出されたものです。その際、周りの土砂よりも硬かった地層は侵食の度合いが少なく、その地層のみが残されました。

図3 カタ・ジュタ拡大図
カタ・ジュタはウルルよりも侵食の度合いが大きくこの様に36もの大小の岩山が形成されました。カタ・ジュタの一部、『オルガ渓谷』と『風の谷』にトレイル(自然を体験できるように整備した小道)があります。オルガ渓谷は往復2.6kmのトレイルで、一番奥にあるポイントからは高さ546mのオルガを見ることが出来ます。風の谷は往復4.2km(第一展望台まで)のトレイルで、一周7.4kmあり所要時間はおよそ3〜4時間ほどになります。

図4 カタ・ジュタの立体視画像(図3と異なり左側が北です)
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)
図4はPRISMの3方向視の画像のうち前方視と直下視の画像を組み合わせて作成した立体視画像です。右下の大きな岩が特に飛び出して見えます。右から2番目の岩がカタ・ジュタで1番大きなオルガ山です。オルガ渓谷トレイルはその左(北側)で、大きな岩山に挟まれた渓谷であることがわかります。
ヨーロッパ人が入植して以来、この地はオーストラリア人によって統治されてきましたが、1986年にアボリジニの人々に再び返還されました。現在この地域はウルル−カタ・ジュタ国立公園としてアボリジニの伝統的な所有者と環境・水資源省オーストラリア公園局により共同で管理されています。先住民族のアボリジニは2万年以上も前からここで生活を営み、聖地として崇めてきました。この地では現在もアボリジニの人々が暮らしており、国立公園への入場料はアボリジニの人々の生活の支えにもなっています。なお1987年にユネスコの世界自然遺産に登録され、1994年には世界最古の人間社会の伝統的な信仰様式としてアボリジニ文化の価値が認められて拡大登録され、世界複合遺産となりました。



参照サイト:
赤青メガネの作り方について(「榛名山を立体視」付録参照)
ウルル−カタ・ジュタ国立公園の公式ホームページ

観測画像について:
(図1〜図4)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2006年9月12日01時27分頃(世界標準時)(図1右及び図2)
2006年8月14日01時30分頃(世界標準時)(図1左、図3及び図4)
地上分解能: 2.5 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を520〜770 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、図1〜3では直下視の画像を、図4では前方視の画像(赤)と直下視の画像(緑と青)を用いています。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
インド洋に近い世界一美しい街:西オーストラリア州パース
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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