ページの先頭です。
本文へジャンプする。
【重要なお知らせ】このページは過去に公開された情報のアーカイブページです。更新を終了しているため、リンク切れや古い情報が含まれている可能性があります。 最新情報については、新サイト Earth-graphy (earth.jaxa.jp) をご利用ください。
ここからサイト内共通メニューです。
サイト内共通メニューを読み飛ばす。
サイト内共通メニューここまで。
ここから本文です。

地球が見える 2006年

「つくば」のパンシャープン画像

図1 筑波研究学園都市周辺
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載されたパンクロマチック立体視センサ(PRISM)と高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)のデータを組み合わせて作成した筑波研究学園都市周辺のパンシャープン画像です。図の中央から左上にかけて筑波研究学園都市が広がり、図右には霞ヶ浦の西端と土浦市の市街地が見えています。図下には牛久沼と牛久市の市街地が見えています。図下から右上にかけてJR常磐線が延びており、下の方から牛久駅、ひたち野うしく駅、荒川沖駅そして土浦駅が確認できます。JR常磐線とほぼ並行して、図左から図右上に常磐自動車道が延びています。一方、これらと直交するように桜川が図左上から図右に流れ、霞ヶ浦に注いでいます。図左には東谷田川が流れ、牛久沼に注いでいます。筑波研究学園都市は桜川と東谷田川に挟まれた、JR常磐線より西側に位置していることが分かります。

図の左上には、高エネルギー加速器研究機構があります。ここには、Bファクトリ−と呼ばれ、電子ビ−ムと陽電子ビームを正面衝突させて素粒子の研究を行うための直径1 kmの大型加速器の存在を示す輪が見えています。また、南北およそ3 kmのテストコースを持つ土木研究所、国土地理院、防災科学技術研究所、筑波大学が見えています。

いずれの図も肉眼で見たのと同じ色付けなので、市街地は総体的に青っぽい灰色に見えていますが、赤や青の屋根の色はその通りに見えています。森林は焦げ茶色に、草地や畑地、乾いた田圃は薄茶色に、雲は白く、雲の陰は黒っぽく、水面は黒く見えています。PRISMとAVNIR-2の観測日が異なるため、AVNIR-2の時に雲があったけれど、PRISMの時に雲がなかった場所は灰色に、AVNIR-2の時に雲がなかったけれど、PRISMの時に雲があった場所は白く(一部,白い中に青く)見えています。

図2 筑波研究学園都市の主要部の拡大図
図2下を常磐自動車道が東西に延びていて、その南側に農林研究団地が、北側には、国立環境研究所と気象研究所があります。常磐自動車道と交差しているのは首都圏中央連絡自動車道(圏央道)で、常磐自動車道の北側に工事中のところが見えています。図の左下から左上にかけて、昨年(2005年)8月に開業したつくばエクスプレス線が延びているのが見えます。左下から順にみどりの駅、万博記念公園駅、研究学園駅が確認できますが、いずれの駅の周辺も建物が少ないことが分かります。

万博記念公園駅の北東側は、1985年に開催された国際科学技術博覧会、通称「科学万博」の会場となった場所で、現在、先端技術企業の研究所が集積する研究団地と万博記念公園となっています。研究学園駅を取り囲む大きな楕円形は(財)日本自動車研究所のテストコースでしたが、駅周辺の開発のために昨年10月に東茨城郡城里町に移設されました。駅の南西側には傘の骨組みのような新衝突実験場の白い建物が見えています。研究学園駅の西側にも研究団地が見えています。つくばエクスプレスの始発・終着駅であるつくば駅はつくばセンター地区の地下にあります。センター地区には、つくばエキスポセンターやつくばセンタービルも見えています。

大まかに言うと、大きな建物は研究施設、公共施設、工場、大型店舗で、小さめの建物は住宅です。畑地や田圃がまだたくさん残っていることが分かります。

図3 筑波宇宙センター周辺
(Google Earthで見るつくば (kmz形式、2.05MB、低解像度版))
図3の中央に筑波宇宙センターが、その左下に洞峰公園が、右下に産業技術総合研究所が、右には物質・材料研究機構(並木地区)が、上には同機構(千現地区)が見えています。また、北西−南東方向に学園東大通りと学園西大通が延びていることが分かります。

図4 土浦市中心部
図4の右側は霞ヶ浦で、図下を桜川が西から東に流れ、霞ヶ浦に注いでいます。図の中央付近に土浦駅が見えており、JR常磐線が南北に延びています。土浦駅の北東には川口運動公園が、南西には土浦市役所が見えています。図の左上には、土浦城の本丸と二の丸の跡である亀城(きじょう)公園が見えています。

土浦城は、平城(ひらじろ)で、五重の堀を持ち、その姿が水に浮かぶ亀に似ていたことから「亀城」と呼ばれたとのことです。940年頃平将門(たいらのまさかど)がこの地に砦を築いたのが土浦城の始まりとされ、室町時代の1430年頃に城構えが整えられ、江戸時代の前期に増改築が行われました。その間、城主がめまぐるしく代わりましたが、1669年以降およそ200年間にわたって土屋氏が代々城主を務めました。明治時代(1868年〜1912年)に入ってからは、土浦県庁、新治県庁などに利用されました。現在残っているのは、櫓門(やぐらもん、別名:太鼓櫓)、霞門、本丸堀と二の丸堀の一部、土塁などです。「櫓門」は楼門(楼門とは二階建てで櫓のある門)で、江戸時代の前期の建物としては関東地方で唯一のものだそうです。この他、西櫓と東櫓が復元されています。

5月8日現在、陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の軌道上初期チェックアウトの作業は順調に進んでいます。



参考文献:
「ふるさとの文化遺産 郷土資料事典8 茨城県」(株)人文社、1997 

参照サイト:
つくば市公式サイト
TSUKUBA SCIENCE CITY INFORMATION

観測画像について:
(図1〜図4)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)および高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年3月27日午前10時28分頃(PRISM)および3月25日午前10時44分頃(AVNIR-2)
地上分解能: 2.5 m(PRISM)および10 m(AVNIR-2)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を520〜770 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。AVNIR-2は、衛星進行直行方向に観測領域を変更するポインティング機能を持っていて、 4つのバンドで地上を観測します。
このうち、バンド1(420〜500ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド3(610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。
このように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像をパンシャープン画像と呼びます。この組合せでは、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

焦げ茶色: 森林
薄茶色: 草地、畑地、乾いた田圃
青っぽい灰色: 市街地、道路
赤、青、白など: 建物の屋根
黒: 水面(湖、川)

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
榛名山を立体視
蔵王の東西の2県庁所在地:仙台と山形
お堀のある街:静岡市
地球が見える 陸地・地形

付録:
筑波研究学園都市は、東京の過密対策と高水準の研究と教育を行うための拠点形成を目的として、昭和38年(1963年)9月の閣議了解により、その建設が決定され、昭和55年(1980年)3月までには、予定されていた国の試験研究機関の移転や筑波大学の新設を完了し、基幹的な都市施設もほぼ完成しました。昭和62年(1987年)には11月には筑波郡谷田部町、大穂町、豊里町、新治郡桜村の4町村が合併し、つくば市が誕生しました。現在、つくば市の人口約20万人で、国、民間合わせて約300に及ぶ研究機関・企業で、約1万3000人の研究者が働いているとのことです。
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
画像:ページTOP