地球が見える 2006年
TRMMが捉えた西日本の大雪
2005年12月22日には、大雪のため、新潟と西日本で長時間の停電が発生しました。このときは西日本の広い範囲で降雪となったのが特徴で、鹿児島県の種子島では12月としては40年ぶりの降雪となりました。この日は低気圧が東に抜け、典型的な強い冬型の気圧配置となっていました。 熱帯降雨観測衛星(TRMM)はこの大雪を観測しました。図1は12月22日7時37分(日本標準時)のTRMMの降雨レーダ(PR)による降水分布と可視赤外観測装置(VIRS)の雲画像を合成したものです。大陸から吹き出す寒気に伴う筋状の雲が日本海や東シナ海、そして太平洋にまではっきりと見られ、今回の吹き出しが非常に強いことがわかります。また朝鮮半島の東海上から、中国・近畿地方にかけて、雲の固まりが伸びていて(VIRS画像)、それに沿って東西に伸びる降雪の帯がある(PR画像)ことがわかります。これは「帯状収束雲」と呼ばれるもので、この雲が達した地域では、しばしば大雪となります。降雪が強いことを示す赤い領域がある兵庫県北部では、このときに1時間に6 cmの雪を観測しました。
図3は12月22日6時に観測した九州南部から沖縄にかけての雲と降水分布の合成画像です。VIRS画像で見られる筋状の雲は一つ一つは非常に小さいものですが、それぞれにはっきりとした降雪域を持っていて、対流が発達していることがわかります。これも冬型の特徴の一つで、このようなときには地上では短時間に晴れと強い降雪を繰り返します。種子島で降った雪は、このような降雪雲によりもたらされたものだと考えられます。 天気予報によれば、今後は寒さと大雪は一段落つきそうです。しかし今度はこれまで積もった大雪が崩れ、雪崩の被害が発生するおそれがあります。引き続き気象情報には十分注意する必要があります。
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