地球が見える 2012年
異常気象に見舞われたオーストラリア
図1 オーストラリアの土壌乾湿分布(2002年、2005年、2006年、2010年の10月)
平年と比較して湿潤な地域を緑〜青で、乾燥している地域を黄〜赤で表示 図1は、改良型高性能マイクロ波放射計AMSR-E*1が観測したオーストラリアの土壌水分乾湿分布です。2002年、2005年、2006年、2010年の10月の土壌水分量*2を平年の値(2002年〜2010年の平均値)と比べたもので、黄色から赤で表示された地域は平年よりも乾燥していることを示しています。 *1)JAXAが開発し、NASAの地球観測衛星Aquaに搭載した世界最高性能のマイクロ波放射計。2002年の打上げ以来、継続して全世界のデータを取得し、海面水温、降雨、土壌水分、北極海の海氷などの観測に用いられています。2011年10月4日、定常観測に必要なアンテナの回転速度(毎分40回転)を維持する限界に達したため、観測および回転を自動で停止しました。 図2 2002年から2010年までの10月の土壌湿乾分布の変化(平年との比較)
図2は、平年と比較した10月の土壌乾湿分布を2002年から2010年まで連続して表示したものです。衛星画像では、干ばつに見舞われた2002年と、2006年から数年間の土壌水分量の低下がとらえられています。オーストラリアの最も重要な作物は小麦で、耕作地の約半分を占めています。その主要作付地は南西部と南東部に分布し、画像で著しく土壌水分量が低下した地域と一致しています。 図3 オーストラリアの植生指数(2002年、2005年、2006年、2010年の10月)
緑色であるほど植物の活力が高いことを示しています。 図4 2002年から2010年までの10月の植生指数の変化
図3、4は、米国地球観測衛星TERRA(テラ)に搭載されたMODIS(モーディス)が観測したオーストラリアの植生指数*3です。2002年と2006年は植生活動の高さを示す緑色の地域が少なく、2005年と2010年では多いことが分かります。植生指数も土壌水分量や干ばつと関連して変化しています。 *3)植生指数は植生の健康状態などを示す値で、この値が大きいほど植生活動が高い状態を表します。 オーストラリアの干ばつは、10年に一度の頻度といわれていました。しかし、2000年以降はすでに3回の干ばつ(2002、2006、2007年)に襲われています。特に2006年の干ばつはこの100年で最悪の規模といわれています。一方で、広い国土に様々な気候が混在しているため、干ばつが頻発しているにもかかわらず一部の地域は洪水に見舞われるなどしています。 観測画像について![]()
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