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図1 MODISが観測した台風20号 |
図1は、10月17日にMODISが観測した台風20号(キロギー)の可視・赤外画像です。この台風は10月10日に四国の南方沖で発生しましたが、発生直後は南に進路を取るなど迷走気味で、また移動速度も遅くこの一週間日本の南海上に居座り続けていました。この台風に伴い南から湿った空気が流れ込んだため、関東地方では曇りや雨のぐずついた天気が続いています。図1では台風中心部を取り巻く濃密な雲と、紀伊半島から関東にかけて本州南岸を覆っている前線の雲が台風に連なっている様子がわかります。灰紫色は高層の氷の雲を表していて、台風本体や前線の一部では雨雲が高層まで発達していることが分かります。黄白色は中層と低層の水の雲を表しています。なお、キロギーとは朝鮮語で雁(がん)の意味です。
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図2 AMSR-Eが観測した台風20号 |
図2は10月18日にAMSR-Eがマイクロ波で捉えた台風20号です。 海面の青色が濃い部分は、大気中に水蒸気を多く含んでいることを表わしていて、黄色い部分は、発達した雲を表わしています。発達した雲がドーナツ状に分布していて、台風の目がはっきり見えてます。
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図3 PRで観測された降雨分布と VIRSで観測された雲画像 |
図4 TMIで観測された降雨量画像 |
図3は10月17日に熱帯降雨観測衛星TRMMに搭載されている降雨レーダ(PR)で観測した地表面付近の降水量を、可視赤外放射装置(VIRS)で観測した雲画像に重ねたもの、また図4は同時刻に TRMMに搭載されているTRMMマイクロ波観測装置(TMI)が観測した降雨量で、赤い地域ほど雨が強いことを示しています。台風本体の降水域は直径およそ420 kmの範囲にまとまっていることが分かります。
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図5 AMSR-Eで観測された海上風速 |
図5は、AMSR-Eの観測結果を元に解析された10月18日の日本の南海上の風速分布です。これは海面に立つ波の強さを測定して海上の風の強さを求めるもので、海洋上の風の分布を天候や雲の分布、昼夜の別に関係なく捉えることができます。90 kt (ktはノット。1kt≒0.5m/s)以上の強風が吹いている赤い部分を中心に、強風域が円形に分布していることがわかります。全天候型海上風速については、AMSR/AMSR-Eホームページの右下からアクセスすることができ、世界地図上のある場所をクリックすると、図5のような、その場所の拡大図が表示されます。
台風20号は18日12時の気象庁の観測によれば中心気圧955 hPa、中心付近の最大風速40 m/s(10分間平均値)、風速25 m/s以上の強風域の半径は90 kmと強い勢力を保っています。これまで迷走を続けてきたこの台風は、今後次第に速度を上げつつ北東に移動すると予想されており、接近の予想される関東地方を中心に一層の警戒が必要です。今後の台風情報にご注意ください。
観測画像について:
(図1)
観測衛星: |
地球観測衛星Terra (NASA) |
観測センサ: |
MODIS(NASA) |
観測日時: |
2005年10月17日 10時51分(日本標準時) |
色付けは、MODISの36のチャンネルのうち、いずれも500 m分解能の短波長赤外域のチャンネル7(2,105〜 2,155 nm) に赤、近赤外域のチャンネル6(1,628〜1,652nm)に緑、可視域のチャンネル3(459〜479nm)に青を割り当てて合成しています。このため、概ね次のように見えています。
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緑: | 植生の豊かな所(森林など) |
白、黄白色: | 水の雲 |
灰紫色: | 氷の雲(高層の雲) |
黒: | 水面(海、湖、川)、データのないところ |
(図2)
(図3)
(図4)
(図5)
*1 TRMMは、NASA, NICT及びJAXAの共同プロジェクトです。
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