地球が見える 2005年
猛威をふるう台風14号(ナービー)
図1は9月5日にMODISが捉えた台風14号(ナービー)と、日本列島に沿って伸びる前線による雲です。台風本体の雨雲は大きくきれいな円形を保って非常に発達しています。図中では濃い水色の部分が、発達した(雲頂高度が高い)雨雲を示しています。拡大して見ると中心付近には水色の雲がなく、そこが台風の目になっていることがわかります。 また、台風の接近によって暖かい湿った空気が流れ込むことにより前線の活動が活発になっています。 図2は、AMSR-Eが捉えた台風14号です。 海面の青色が濃い部分は、大気中に水蒸気を多く含んでいることを表わしていて、黄色い部分は、発達した雲を表わしています。発達した雲がドーナツ状に分布していて、台風の目がはっきりしていることが分かります。
図3は9月5日夕方に熱帯降雨観測衛星 TRMM に搭載されている降雨レーダ( PR )で観測した地表面付近の降水量を、可視赤外放射装置( VIRS )で観測した雲画像に重ねたもの、図4は同時刻に TRMM に搭載されている TRMM マイクロ波観測装置( TMI )が観測した降雨量です。赤い地域ほど雨が強いことを示しており、大きな台風の目の回りで激しい雨が降っている領域が渦巻き状に分布していることがわかります。 台風14号の暴風域(6日 8時45分気象庁発表)は、北東側280km、南西側240kmに及んでいます。これは、先日、米国南部で猛威をふるったハリケーン「カトリーナ」の暴風域(半径220km)よりも広いものです。 台風14号の中心気圧は950hPa、中心付近の最大風速は40m/sです(6日 8時45分気象庁発表)。沖縄、九州近海の海面水温(*)が高いため、強い勢力を保ったまま九州西岸を北上しています。 種子島では、6日の4時30分頃に瞬間最大風速59.2m/sを観測しました。 種子島宇宙センターにある「大型ロケット発射場」の現在の様子はこちらです。 今後はゆっくりとした速度で、北ないし北東に進路を取ることが予想されます。今後の台風情報に御注意下さい。 (*)海面水温については、AMSR-E黒潮モニターと、TRMMの海面水温(3日間平均)をご覧ください。
関連サイト: JAXA/EORC台風データベース TRMM台風速報 AMSR-E台風速報 AMSR-E今日の一枚 MODIS準リアルタイム画像 付録: 台風の名前: 台風14号の名前「ナービー(Nabi)」は、韓国語で「ちょう(蝶)」を意味します。平成12年に始まった台風のアジア名は、北西太平洋域の加盟14カ国から提案された、140個の名前のセットです。「ナービー」はその137番目にあたります。 台風の名前に関する詳細はこちら なぜ台風には目があるか: 台風が発生すると、台風の中心に向かって、北半球では反時計回りに渦巻き状に強い風が吹きます。 この風は中心に近いほど強くなりますが、あまりに強くなると遠心力*が強くなって、中心に風が入り込めなくなります。そのために中心付近には風も雨もない領域が出来ます。これが“台風の目”になります。 *遠心力=強く回転するものには、中心付近から外側へ向かう力が働きます。これを遠心力と言います。 |