海洋環境監視
海洋環境の変化は、日々の気象現象や漁場の変化のみならず、大規模な大気循環場や気候システム、海洋生態系にも影響を及ぼしています。さまざまな観測データから海面水温、海氷、クロロフィルa濃度(植物プランクトンが持つ光合成色素)、光合成有効放射(植物の光合成に使われるのに有効な太陽光)などのプロダクトを開発し、データや画像を研究者や一般利用者に提供しています。海洋モデルとの連携により衛星観測の欠測を埋め、衛星から直接観測できない物理量を含めた、連続的な海洋環境データセットを作成し、気候研究や漁業などの現業利用の両面に貢献することを目指しています。
可知 美佐子
第一宇宙技術部門
地球観測研究センター
研究領域リーダ/主幹研究員
マイクロ波放射計による長期的な全天候観測 -北極海海氷監視
雲を透過して、その下の海氷分布や海面水温を観測可能なマイクロ波放射計は、1978年以降複数センサで観測を継続することで、気候変動の影響把握に重要な情報を提供しています。
北極海氷面積の長期間(1978/11~2016/1)の継続観測(a)により、2007年9月に地球観測衛星「Aqua」のAMSR-Eセンサが観測史上2番目(c)、2012年9月に水循環変動観測衛星「しずく」(GCOM-W)のAMSR2センサが史上最小の面積(d)を観測しました。
静止衛星による高頻度観測
2015年7月に運用を開始した静止気象衛星「ひまわり8号」は、0.5~2kmの空間分解能で、10分毎にフルディスクの観測を行っています。
JAXAでは「ひまわり8号」から高頻度の海面水温(a)やクロロフィルa濃度(b)のデータを作成し、さらに協力機関と共に高解像度の海洋モデルにこれらのデータを同化することで(c、d)、衛星とモデルを統合した、新たな海洋環境データセットの構築を目指しています。