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地球が見える 2009年

『空中の楼閣』マチュピチュ、ペルー

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図1 マチュピチュの拡大図
(Google Earthで見るマチュピチュ(kmz形式、3.81MB、低解像度版))

マチュピチュの発見

図1はペルーにあるインカ帝国の遺跡、マチュピチュ周辺を拡大した画像です。マチュピチュ遺跡はインカ帝国の首都であったクスコから北西約80 km、ウルバンバ川沿いの標高約2,400 mの尾根にあります。山裾からマチュピチュ遺跡は見えないため、「空中の楼閣」あるいは「インカ帝国の失われた都市」と呼ばれてきました。
マチュピチュ山(標高2,940 m)は、現地語で"年老いた峰"という意味で、"若い峰"という意味のワイナピチュ山(標高2,690 m)との間に遺跡があります。インカ帝国の名残を示す遺跡として有名で、1430年頃から建設が始められ、100年後のスペイン人による征服の際に放棄されたようです。地元民にはその存在が知られていましたが、1911年にイェール大学のハイラム・ビンガムがこの地域の古いインカの道路を探検した折に発見し、『インカの失われた都市』という本を出版したことで世界に知られました。
蛇行するウルバンバ川沿いからマチュピチュまで、つづら折りの道路が続いています。1940年代にペルー政府が建設したもので、現在この道路(ハイラム・ビンガム道)から数多くの観光客が遺跡を訪問しています。
画像の右端(東方)には麓の町、マチュピチュ村(旧アグアス・カリエンテス)が見えています。アグアス・カリエンテスとは、スペイン語で温泉を意味し、小さな町のはずれには露天の温泉があります。またクスコからの豪華列車(ハイラム・ビンガム・トレイン)の終点駅となっています。

インカ帝国天文台の名残か

マチュピチュは結果的にスペイン人征服者に発見されず、略奪されなかったことにより古い儀式用の石等が残っており、生活様式を知るにはふさわしい場所です。当初は、スペイン人の侵略に抵抗した最後の砦と考えられていましたが、一説では、東西が開けており、太陽を崇めるインカ人にとって春分・秋分といった重要な出来事を観測する地点ではないかと考えられています。しかし、マチュピチュに関する多くの謎が未だに解明されていないのが現状です。
1983年には、クスコと一緒に世界遺産に登録されていますが、観光客が増えて、道路や橋が取り付けられてきており、環境破壊が心配されています。

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図2 遺跡の拡大図

図2は遺跡の拡大図です。遺跡は居住区と農業区で構成され、上半分(北側)が居住区遺跡、下半分(南側)が農業区です。農業区には40段の段々畑跡があり、居住区遺跡には約200戸の石の建物や神殿があります。マチュピチュ遺跡の最高点には高さ1.8 mの日時計と考えられている構造物(インティワタナ)があります。その北側の峰、ワイナピチュ山頂にも構造物(月の神殿)が残っていて、遺跡の一部とみなされています。

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図3 マチュピチュの周辺図

図3はマチュピチュ周辺の画像です。ちょうどマチュピチュ付近には雲がかかっていません。蛇行しているウルバンバ川沿いは、周囲を山々に囲まれ、深い渓谷となっています。
マチュピチュ南東の山岳地帯にはインカ道(インカ帝国が支配下に治めた土地に造った幹線道路)が発見されており、現在その一部がトレッキングコースとなっています。

写真 マチュピチュ遺跡とワイナピチュ山

写真はマチュピチュ遺跡農業区より居住区遺跡とワイナピチュ山を撮影したものです。断崖絶壁の上にマチュピチュ遺跡は築かれています。



観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2008年5月15日15時09分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

緑色: 森林
明緑色: 草地
薄茶色: 道路
茶色: 裸地
白: 人工構造物、川(河原,砂洲)

(図1、2)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5 mのカラー画像を作成することができます。図1、2はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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