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地球が見える 2007年

太陽と月のピラミッド、テオティワカン

図1 テオティワカン周辺
(全体画像)
図1は2007年5月に観測したメキシコ合衆国の古代都市テオティワカン(Teotihuacan)周辺の画像です。テオティワカンは紀元前2世紀から6世紀まで栄え、当時のギリシア・アテネ、唐・長安、東ローマ帝国・コンスタンティノーブルに肩を並べるアメリカ大陸最大規模の都市でした。都市の面積は20km2で最盛期には20万人もの人々が住んでいたとされています。テオティワカンは標高2,300m、メキシコ合衆国の首都メキシコシティから北東へ約50kmのところの盆地にあり、サボテンがところどころ顔をのぞかせる沙漠を車で一時間走ると突如見えてきます。この都市は12世紀頃、以後に栄えるアステカ人によって完全な廃墟と化した遺跡として発見されました。アステカ人は現在のメキシコシティに都市を造りましたが、この遺跡をテオティワカン、すなわち、「神々の住む」神聖な場所として後々まで崇拝の対象としました。北側に見えるのはセロ・ゴルド火山でテオティワカンの都市を作る上で少なからず影響を与えたと思われます。

図2 テオティワカン
(Google Earthで見るテオティワカン (kmz形式、1.54MB、低解像度版))
図2は図1の画像と2006年9月に観測した画像を組み合わせて作成したテオティワカンのパンシャープン画像です。テオティワカンの遺跡は、北の端の「月のピラミッド」(高さ47m、底辺が140m×150m)から南北に2.5kmにわたって貫く幅40mのメインストリート「死者の大通り」、その通り沿いに「太陽のピラミッド」、「城塞」、「ケツアル・コアトルのピラミッド(神殿)」などが立ち並ぶ壮大なものです。
「太陽のピラミッド」は高さが65m、底辺が222m×225mあり、世界で三番目の大きさのピラミッドです。月のピラミッドは太陽のピラミッドに比べて18mほど低いですが、13mほど高台にあるので、頂上の高さはほぼ同じになっています。これはエジプトのギザの大ピラミッドとカフラー王のピラミッドの関係に似ています。
「死者の大通り」はなぜか真北から15度30分ほど東側に傾いています。これほどの巨大な整然とした都市を造ったティティワカン人がなぜ大通りの中心線をずらしたかは諸説あるようですが、何かしらそこには意図が働いたものと思われます。また、この大通りは巨大なプールであったという説もあります。テオティワカンにある神殿の多くは雨乞いのための神殿だということもあり、古代の人々が作った沙漠の中の貯水池というのもあながち夢物語ではないかもしれません。
大通りの南の端には一辺が45m、高さが7mの巨大で厚い壁に囲まれた「城塞」があります。城塞は後のスペイン人が名付けただけで、その用途はまだ明らかにされていません。城塞の中には、ケッツアル・コアトルのピラミッドがあります。このピラミッドは古代アメリカ時代の遺跡として最も保存状態が良くカラフルな塗料の跡が未だに残っているなど考古学的に貴重なものです。高さが22mあり、タルー・タブレロ様式と呼ばれるテオティワカン独特の建築様式で建てられ、翼を持つ蛇の水と農耕の神ケツアル・コアトルやもう一つの主神である雨の女神「トラロック」の頭部の彫像が数多くはめ込められています。
ケツアルとは鳥、コアトルは蛇の意味で、太陽と月のピラミッドもアステカ人が彼らの神話に登場する物語からつけたものです。 テオティワカン人がなんと呼んでいたかは現在のところまったくわかっていません。死者の大通りも、通り沿いの両側にいくつか並んでいる小山(実際には神殿の跡)をアステカ人が墓と勘違いしたために名付けられたものです。
テオティワカンは、文字通り神々の都市で一体誰が何のために築いたのか、どこへ消えたのか大きな謎とされていますが、最新の発掘調査によって、高度な天文学を保有していたことや、テオティワカン人の豊かな暮らしぶりなどが明らかになっています。古代都市テオティワカンは1987年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産として登録されました。



観測画像について:
(図1、図2、全体画像、図をクリックすると2段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)及び高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2007年5月9日17時16分頃(世界標準時、PRISM、図2)
2006年9月27日17時15分頃(世界標準時、AVNIR-2、図1、2、全体画像)
地上分解能: 2.5m(PRISM)、10m(AVNIR-2)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2は、衛星進行方向に直交する方向に観測領域を変更するポインティング機能を持っていて、4つのバンドで地上を観測します。このうち、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。
図2は、このように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。
図1、2、全体画像は、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

黄土色、茶色: 裸地、農地
緑色: 農地、森林
灰色: 市街地、道路
赤: 家の屋根
白:
黒: 雲の陰、データのないところ

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
サムライも訪れた美しい港町、メキシコ、アカプルコ
エジプト、ギザのピラミッドを立体視
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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