地球が見える 2008年
海上風力発電所のある風景、コペンハーゲン、デンマーク
これはミドルグリン海上風力発電所で、海岸から2〜3km、水深4〜8mの浅瀬に設置され、2001年から稼働しています。この浅瀬は200年以上にわたって港湾浚渫(しゅんせつ)の際の残土などを捨てる場所として使われてきました。 発電用風車の支柱の高さは64m、回転翼の直径は76m、全体の高さは102mに及び、1基当たりの発電能力は2MW(メガワット)で、発生した電力は長さ3.5kmの海底ケーブルを経由して陸上まで送られます。合計発電量は40MWで、コペンハーゲンで消費される電力の3%以上を供給し、欧州で最大の海上風力発電能力を有するデンマークの象徴的な施設となっています。北側の10基を所有するのはコペンハーゲン・エネルギー公社で、南側の10基を所有するのはミドルグリン風力発電共同組合です*1。 なお、拡大図で左の方を見ると、堤防のところに7基の小さめの発電用風車が有ることが分かります。
図1と同様に、AVNIR-2画像とPRISMの後方視の画像を組み合わせたパンシャープン画像なので、建物の南側の側面が見えていますが、全体的に高層ビルが少ないことが分かります。 図の中央には12世紀に建設された城塞とその後、建設されたコペンハーゲン城を前身とし、現在、国会議事堂として使われているクリスチャンスボー宮殿が見えています。この宮殿の南東側には内港が北東・南西方向に延びており、図の右上の外港につながっています。内港を挟んだ対岸の島は17世紀に首都防衛のために作られた要塞、クリスチャンハウンで、その南東側に弧を描く二重の外濠があります。 内側の外濠にはいくつかの稜堡(りょうほ)が張り出し、幅の狭い外側の外濠とともに巨大な二重の歯車のように見えています。一方、クリスチャンスボー宮殿の北の国立美術館の近くには、北西側の外濠の名残が見えています。さらにその外側には、長方形の湖が並んでいます。 クリスチャンスボー宮殿の周辺を見ると、西側には国立博物館、コペンハーゲン市庁舎、1843年にオープンした遊園地、チボリ公園とコペンハーゲン中央駅が見えています。同宮殿の北側には、歩行者専用で北欧随一の商店街、ストロイエが東西方向に延び、北東には250年以上の歴史を持つ王立劇場や運河沿いにカラフルな木造家屋が並ぶニューハウンがあります。 クリスチャンスボー宮殿の北には17世紀初めに夏の離宮として建設され、現在、王室博物館として公開されているローゼンボー城が、北東には1794年以来デンマーク王室の居城として使われているアマリエンボー宮殿が見えています。 アマリエンボー宮殿の北には、17世紀に建設され、星形の濠を持つカステレッツ要塞が見えています。英国艦隊が1801年のコペンハーゲンの海戦に続いて、1807年にコペンハーゲンを砲撃した際に、この要塞は防衛線として使われましたが、英国側の大砲の射程距離の伸びの前には無力でした。 星形の濠と言えば、日本では19世紀半ばの江戸時代末期に函館に建設された五稜郭が有名ですが、1868〜1869年の箱館戦争の時の新政府軍の軍艦の艦砲射撃にはやはり太刀打ちできませんでした。なお、カステレッツ要塞の近くの海岸にはハンス・クリスチャン・アンデルセン(1805〜1875年)の童話「人魚姫」にちなんだ人魚姫の像があります。 内港を挟んだアマリエンボー宮殿の対岸には、2005年1月にオープンしたコペンハーゲン・オペラ・ハウスが白い長方形に見えています。オペラハウスの南西には今年(2008年)2月にオープンしたばかりの国立新劇場が黒く見えています。これらの施設はコペンハーゲンの再開発計画の一環として整備されたものです。 図の上の方には、デンマークのプロサッカーリーグであるデンマーク・スーペルリーガに所属するFCコペンハーゲンとサッカーデンマーク代表の本拠地、パルケン・スタディオンが見えています。 パルケン・スタディオンの南には、現代物理学の2本柱(もう一つは相対性理論)の一つである量子力学の構築において指導的な役割を果した理論物理学者ニールス・ボーア(1885〜1962年)が所長を務めたニールス・ボーア研究所が見えます。 図左のサンクト・ヨアンズ湖の畔には、デンマークの天文学者で、厖大(ぼうだい)な天体観測記録を残し、ケプラーの法則を生む基礎を作ったティコ・ブラーエ(1546〜1601年)にちなんで1989にオープンしたプラネタリウムがあります。なお、月面のティコ・クレーターはティコ・ブラーエにちなんで命名されたものです。 図の下の方にはコペンハーゲン大学のキャンパスの一つが見えています。
シェラン島とアマー島はおよそ10kmにわたって接近して、天然の良港を形成しています。コペンハーゲンとはデンマーク語で「商人の港」を意味しますが、天然の良港はその所以(ゆえん)となっています。アマー島の北東部には、やはりコペンハーゲンの再開発計画の一環として2005年に完成した人工の海水浴場、アマービーチが白く見えています。 図の右上と右下の陸地はスカンジナビア半島の一部で、スウェーデンの一部でもあります。右下にはスウェーデンの都市マルメーの一部が見えています。 コペンハーゲンとマルメーの間には2000年7月に開通した全長7,845mのエーレスンド橋が見えています。拡大図を見ると、橋の中央に2本の主塔が見え、その直ぐ北側に橋をくぐろうとしている船が見えています。この橋と人工島であるペッパー島(全長4,055m)、さらに全長4,050m (海底部分は3,510m)の海底トンネルによって、マルメーとコペンハーゲンが結ばれています。ペッパー(胡椒)島はすぐ北にある天然のソルト(塩)島に合わせて名づけられました。
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