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地球が見える 2008年

神々の島・バリ島

図1 バリ島モザイク画像
(Google Earthで見るバリ島 (kmz形式、2.54MB、低解像度版))
バリ島はインドネシア南部、小スンダ列島西端に位置する長さ約140km、幅約80kmの島です。西にジャワ島、東はロンボク島に挟まれており、面積は約5,500km2で、愛媛県とほぼ同じ大きさです。人口は約300万人で、主要都市は北部の港街シンガラジャと南部の州都デンパサール市です。バリ島はインドネシアにあって、唯一イスラムの影響を受けていない島です。住民の宗教は、ポリネシアの宗教儀礼をとりこんだヒンドゥー教の変種で、数千のヒンドゥー寺院が残ることから、バリは「神々の島」と呼ばれています。南緯8度から9度の熱帯にあるため雨季と乾季の差が大きく、雲が発生しやすい地帯です。

図1は、これまでに「だいち」の光学センサー(AVNIR-2)により観測された画像の内、最も雲の少ない時の画像3枚をつなぎ合わせています。陸地の緑色の差ができるだけ目立たないように色を合わせて接合していますが、白く見える雲や季節による植物の状態の違いから、接合部分が少し不自然に見えています。西側には緑深い山々が連なっているのが見えます。西端には野生動物の保護を目的とした西部国立公園があり、バリだけに生息する白い鳥、ジャラック・プティ(カンムリシロムクドリ)を見ることができます。東側には噴火した溶岩が露出し、こげ茶色に見えるバトゥール山(標高1,717m)とバリ島最高峰アグン山(標高3,142m)が見えています。

図2 合成開口レーダで見たバリ島モザイク画像
図2は「だいち」の合成開口レーダ(PALSAR)によって観測された画像を3枚つなぎ合わせたものです。雲の影響を受けないこと、そして、ほぼ同じ季節の画像であることから、継ぎ目がなく地形がわかりやすく見えています。「だいち」から発射したマイクロ波のパルスの反射の強弱を白黒で表した画像は、衛星に対面する地物からの反射が強く表れ、白く見えます。この画像は衛星が南から北へ進む時に取得された画像なので、対面する山の西側斜面からの反射が強くでており、白く見えています。これにより山々が、島を東西に貫いている様子がはっきり見えています。
バトゥカウ山(標高2,276m)をはじめとする島の中央の山々の近くにいくつかの湖があるものの、北風が山脈に当たって降らせた雨は全て北側に流れて行き、南側は乾燥した砂漠でした。この湖の水を、トンネルを掘って南側 に導き、島の南側全体を緑あふれる土地に改良したと言われています。
図中、黒く見える部分は水面や平坦な地物で、レーダの反射が戻ってこないことによるものです。海面や湖面、空港の滑走路などが黒く見えています。山の斜面の白く見える反射とは別に、デンパサールやシンガラジャ等の市街地も白く見えていますが、これは建物の強い反射を表しています。空港の北、クタ湾に面するリゾートエリアやバドゥン半島東側のリゾートエリアなども白く見えています。
アグン山は1963年に噴火しました。南西の麓にはバリ・ヒンドゥー教の総本山で参拝者が絶えないブサキ寺院があります。その北西には1917年と1926年に噴火したバトゥール山とカルデラ湖のバトゥール湖が見えます。さらに西に見えるカルデラ湖は、東からブラタン湖、ブヤン湖とタンブリンガン湖です。これらのカルデラ湖を擁する山々から南にいくつもの渓谷を持った裾野が広がり、デンパサール市のある沖積平野(ちゅうせきへいや)へと農耕地が続いていきます。その途中にところどころ黒く見えるのは水が張られた水田のようです。島の西南のヌガラ地区にも同様に水田が見てとれます。

図3 デンパサール市周辺拡大
図3はデンパサール市周辺を拡大した画像です。
この画像の北部、雲の点在する辺りにウブド村があります。山間の寺院や遺跡、美術館など多くの観光スポットと大自然が堪能できる緑に囲まれたヒーリングスポットです。画像の濃い緑の部分を立てに引っ掻いたように薄い緑や茶褐色や薄茶色の部分が見えますが、薄い緑は作物で覆われた田畑などの耕作地、薄茶色は耕作地でも土がむき出しているところ、茶褐色は住居の屋根が連なる集落です。
山間地に位置するウブドから南に下がってくると、デンパサール市街地です。官公庁や企業がオフィスを構えるバリ島の政治経済の中心地です。
さらに南に下って、バドゥン半島の細くくびれたところに、ングラ・ライ国際空港が見えます。空港の北側の図2では白く見えるリゾートエリアは商店やホテルなどが軒を連ねているため灰色や茶褐色に見えています。南からクタ、レギャン、スミニャック地区へと続いています。クタおよびレギャンはバリ島で最もにぎわうビーチリゾートですが、元々のどかな漁村だったところに、オーストラリアやヨーロッパからサーファーが訪れ始めた1960年代から急速に発展し、今では昼夜を問わず若者でにぎわっています。一方、スミニャックは在住外国人が多く住み、そのせいか外国人経営の店が多く、静かでおしゃれな街という印象です。空港の南東のヌサドゥア地区から北へ延びる岬のタンジュン・ベノア地区は1970年代から政府主導で計画的に開発された高級リゾートです。半島南部の薄茶色に見えるところには白く見える道路があるほかはこれから開発が進むエリアと思われます。
空港から5kmほど南下した、白い雲の下に国立ウダヤナ大学ジンバラン・キャンパスがあります。現在、JAXAとインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)の間で行われている「インドネシア国におけるALOSデータを利用するパイロットプロジェクト」に、2003年に設立されたウダヤナ大学リモートセンシング海洋研究センター(UNUD/CReSOS)も参加しており、主にインドネシア国での沿岸域における利用研究が進められております。



観測画像について:


(図をクリックすると2 段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)(図1及び図3)
フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)(図2)
観測日時: (AVNIR-2)
2007年5月2日02時46分頃(世界標準時) (図1左)
2006年11月28日02時44分頃(世界標準時) (図1中央、図3)
2007年3月29日02時42分頃(世界標準時) (図1 右)
(PALSAR)
2007年8月12日15時15分頃(世界標準時) (図2左)
2007年6月10日15時13分頃(世界標準時) (図2中央)
2007年7月9日15時11分頃(世界標準時) (図2右)
地上分解能: 10m(AVNIR-2)および50m(PALSAR)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
(図1及び図3)
AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図1と図3は可視域のバンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

緑色: 森林
明緑色: 草地、農地
灰色、茶褐色: 市街地、道路
肌色: 収穫後の畑地、裸地
青: 水域
白:

(図2)
合成開口レーダは昼夜、天候に関わらず地球表面を観測することができるセンサです。得られる画像は白黒で、合成開口レーダから送信された電波を強く反射したところが明るく見えます。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
だいち(ALOS)、インドネシア・ジャワ島中部地震被災地を観測
東南アジアの島々を含むJERS-1 SARモザイク画像
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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