地球が見える 2008年
神々の島・バリ島
図1は、これまでに「だいち」の光学センサー(AVNIR-2)により観測された画像の内、最も雲の少ない時の画像3枚をつなぎ合わせています。陸地の緑色の差ができるだけ目立たないように色を合わせて接合していますが、白く見える雲や季節による植物の状態の違いから、接合部分が少し不自然に見えています。西側には緑深い山々が連なっているのが見えます。西端には野生動物の保護を目的とした西部国立公園があり、バリだけに生息する白い鳥、ジャラック・プティ(カンムリシロムクドリ)を見ることができます。東側には噴火した溶岩が露出し、こげ茶色に見えるバトゥール山(標高1,717m)とバリ島最高峰アグン山(標高3,142m)が見えています。
バトゥカウ山(標高2,276m)をはじめとする島の中央の山々の近くにいくつかの湖があるものの、北風が山脈に当たって降らせた雨は全て北側に流れて行き、南側は乾燥した砂漠でした。この湖の水を、トンネルを掘って南側 に導き、島の南側全体を緑あふれる土地に改良したと言われています。 図中、黒く見える部分は水面や平坦な地物で、レーダの反射が戻ってこないことによるものです。海面や湖面、空港の滑走路などが黒く見えています。山の斜面の白く見える反射とは別に、デンパサールやシンガラジャ等の市街地も白く見えていますが、これは建物の強い反射を表しています。空港の北、クタ湾に面するリゾートエリアやバドゥン半島東側のリゾートエリアなども白く見えています。 アグン山は1963年に噴火しました。南西の麓にはバリ・ヒンドゥー教の総本山で参拝者が絶えないブサキ寺院があります。その北西には1917年と1926年に噴火したバトゥール山とカルデラ湖のバトゥール湖が見えます。さらに西に見えるカルデラ湖は、東からブラタン湖、ブヤン湖とタンブリンガン湖です。これらのカルデラ湖を擁する山々から南にいくつもの渓谷を持った裾野が広がり、デンパサール市のある沖積平野(ちゅうせきへいや)へと農耕地が続いていきます。その途中にところどころ黒く見えるのは水が張られた水田のようです。島の西南のヌガラ地区にも同様に水田が見てとれます。
この画像の北部、雲の点在する辺りにウブド村があります。山間の寺院や遺跡、美術館など多くの観光スポットと大自然が堪能できる緑に囲まれたヒーリングスポットです。画像の濃い緑の部分を立てに引っ掻いたように薄い緑や茶褐色や薄茶色の部分が見えますが、薄い緑は作物で覆われた田畑などの耕作地、薄茶色は耕作地でも土がむき出しているところ、茶褐色は住居の屋根が連なる集落です。 山間地に位置するウブドから南に下がってくると、デンパサール市街地です。官公庁や企業がオフィスを構えるバリ島の政治経済の中心地です。 さらに南に下って、バドゥン半島の細くくびれたところに、ングラ・ライ国際空港が見えます。空港の北側の図2では白く見えるリゾートエリアは商店やホテルなどが軒を連ねているため灰色や茶褐色に見えています。南からクタ、レギャン、スミニャック地区へと続いています。クタおよびレギャンはバリ島で最もにぎわうビーチリゾートですが、元々のどかな漁村だったところに、オーストラリアやヨーロッパからサーファーが訪れ始めた1960年代から急速に発展し、今では昼夜を問わず若者でにぎわっています。一方、スミニャックは在住外国人が多く住み、そのせいか外国人経営の店が多く、静かでおしゃれな街という印象です。空港の南東のヌサドゥア地区から北へ延びる岬のタンジュン・ベノア地区は1970年代から政府主導で計画的に開発された高級リゾートです。半島南部の薄茶色に見えるところには白く見える道路があるほかはこれから開発が進むエリアと思われます。 空港から5kmほど南下した、白い雲の下に国立ウダヤナ大学ジンバラン・キャンパスがあります。現在、JAXAとインドネシア国立航空宇宙研究所(LAPAN)の間で行われている「インドネシア国におけるALOSデータを利用するパイロットプロジェクト」に、2003年に設立されたウダヤナ大学リモートセンシング海洋研究センター(UNUD/CReSOS)も参加しており、主にインドネシア国での沿岸域における利用研究が進められております。
|