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地球が見える 2006年

アタカマ高地の電波天文台群

図1 AVNIR-2が捉えたアタカマ高地
(Google Earthで見るアタカマ高地(kmz形式、0.99MB、低解像度版))
図1は2006年5月に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)が捉えた南アメリカのチリとボリビアの国境を含むアタカマ高地です。図左にリカンカブール火山(標高5,916 m)があり、その北東にラグナ・ベルデ(緑の湖)が見えます。ここでは水色に見えています。図全体が茶色ないし焦げ茶色なので、岩石や土砂が露出していて、植性が全く見られず、非常に乾燥していることが分かります。白いところは雪または乾燥した塩地です。火山活動が盛んであったことを示す焦げ茶色の溶岩や円錐形の地形、火口が数多く見られます。

図2 PRISMが捉えたアタカマ高地
図2は2006年7月に「だいち」搭載のパンクロマチック立体視センサ(PRISM) が捉えたアタカマ高地です。図2は図1の中央の部分に相当し、白黒画像ですが、より詳細に見えています。図左にはリカンカブール火山と大きな火口を持つフリケス山(標高5,704 m)が見えています。その北のラグナ・ベルデの東半分は干上がっているように見えます。図下にはチャスコン山(標高5,698 m)とチャナントール山(標高5,604 m)が見え、チャスコン山の北には標高約4,800 mの高原パンパ・ラ・ボラが、西には標高約5,000 mの高原リャノ・デ・チャナントールがあります。

図3 リカンカブール火山の火口付近の拡大図
図3は図2のリカンカブール火山の火口付近を拡大した画像です。火口の内側に短径70 m、長径90 mの火口湖があり、周囲は凍っているように見えます。この湖は山頂よりおよそ100 m低いところにあり、世界で最も高いところにある湖であると考えられています。ここでは、気圧、気温、酸素濃度が低い一方、紫外線が強いので、古代の火星の湖に非常に近い環境であると考えられ、2003年にNASAのエームズ研究所の研究者らによって調査が行われました。

図4 パンパ・ラ・ボラの拡大図
図4は図2のパンパ・ラ・ボラの拡大図です。ここには、日本の国立天文台とチリ大学を含む大学連合のASTE(アタカマ・サブミリ波望遠鏡実験)、名古屋大学を中心とした国際的な大学連合のNANTEN2(なんてん電波天文台)の電波望遠鏡があり、関連施設と共に見えています。

図5 リャノ・デ・チャナントールの拡大図
図5は図2のリャノ・デ・チャナントールの拡大図です。ここには、マックス・プランク電波天文学研究所、欧州南天天文台およびスウェーデンのオンサラ宇宙天文台のAPEX(アタカマ・パスファインダー実験)とカリフォルニア工科大学のCBI(宇宙背景撮像装置)の電波望遠鏡があり、関連施設と共に見えています。
2002年から日本・アメリカ・カナダ・ヨーロッパの国際共同プロジェクトとして始まったALMA(アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計)計画では、リャノ・デ・チャナントールに合計80台の電波望遠鏡からなる電波干渉計を整備中で、2011年に完成する予定です。この電波干渉計は、サブミリ波領域では世界最高性能で、銀河系の誕生や太陽系の誕生、ビッグバンから生命に至る物質の進化といった謎に迫ることを目指しています。

図6 アタカマ高地の立体視用画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)
図6は2006年7月にPRISMで観測した直下視画像と後方視画像による立体視用画像です。このため、この画像では北はほぼ右側になっているので、注意が必要です。赤と青の色メガネを使って見ると、いくつかの円錐形の火山や溶岩の盛り上がり、平らな湖、地形の微妙な凹凸などが手に取るように見えます。



参照サイト:
赤青メガネの作り方について(「榛名山を立体視」付録参照)
NASAの研究者によるリカンカブールの調査について(英語)
ASTEについて(国立天文台のサイト)
NANTEN2について(名古屋大学のサイト)
APEXの公式サイト(英語)
CBIの公式サイト(英語)
ALMA計画について(国立天文台のサイト)

観測画像について:
(図1)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年5月28日14時17分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
 AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図1は、いずれも可視域のバンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、雪や塩は白く、露出した岩や土砂は茶色っぽく、湖は水色に見えます。

(図2〜6)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2006年7月4日14時45〜46分頃(世界標準時)
地上分解能: 2.5 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を550〜720 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の可視域1バンドで観測する光学センサで、3 組の光学系(望遠鏡)を持ち、衛星の進行方向に対して前方、直下、後方の3方向の画像を同時に取得します。得られる画像は白黒画像です。
図2〜5は後方視の画像を用いています。
図6は直下視(緑と青)と後方視の画像(赤)を用いています。立体視の際には、右目で見る画像と左目で見る画像の角度の違い(視差といいます)を利用しますが、図6の場合、左目で衛星の後方を、右目で衛星の直下を見ることになるので、左側が衛星の進行方向になり、右側がほぼ北になります。

関連サイト:
アナグリフ方式による地形の実体視(国立沼津工業高等専門学校のサイト)
ALOS 解析研究ページ
火山の上の天文台銀座:ハワイ島
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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