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地球が見える 2006年

後退するフェドチェンコ氷河

図1 フェドチェンコ氷河周辺
図1左は地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)搭載の可視近赤外放射計(VNIR)が1993年8月に捉えたフェドチェンコ氷河周辺で、図1右は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2006年8月に捉えたものです。
右の図には多少、雲が点在していますが、左右の図を比較することによりここ13年間の変化を読み取ることができます。
フェドチェンコ氷河は図下のレボリューツィヤ峰(革命峰、標高6,974m)の北西斜面を源として、北に向かって流れており、南側(上流側)では標高の高い谷が雪と氷に覆われ太陽光の反射が強いので真っ白に見えています。一方、北側(下流側)では氷河が流れるに従って表面の雪や氷が融けて、岩屑に覆われるようになり反射が弱まり紫色に見えています。
左右の図は同じ季節にもかかわらず、氷河の表面が雪と氷で覆われた領域(画像で真っ白に見える領域)が縮小・後退したことが見て取れます。また、薄い緑色に見える植生に覆われた領域がこの13年間に増えたことが分かります。

図2 フェドチェンコ氷河下流の拡大図
(Google Earthで見るフェドチェンコ氷河 (kmz形式、1.06MB、低解像度版))
図2の上部にフェドチェンコ氷河の舌端と氷河湖が見えていますが、その位置はここ13年間でほとんど変わっていないことが分かります。しかし、左右の矢印のところの氷河上の筋を見ると、1993年には氷河の流れが真っすぐだったのが、2006年には大きく曲がっていることが分かります。フェドチェンコ氷河の氷の流れは1日約 67 cm と言われているので、13年での移動量は 3 km に及ぶことになり、その分の変化が現れていることになります。また、薄い緑色の植生に覆われた領域が増えたことが分かります。

図3 ナリブキナ氷河の北の領域の拡大図
図3の左右の図を比べると、1993年の図の矢印のところの氷河がこの13年間に消失したこと、氷河の表面が融け始めて薄い紫色に見える領域が増えて、雪と氷で覆われて真っ白に見える領域が減ったこと、薄い緑色の植生に覆われた領域が増えたことがわかります。

図4 フェドチェンコ氷河の中流部の拡大図
図4左右の図を比べると、1993年の矢印のところの氷河が融けて、2006年には濃い紫色に見える氷河湖が出現したことが分かります。右の図の中央の二つの氷河湖の間の島はモレーン(氷河が運んだ土砂や岩石の堆積物)でできたように思われます。
また、真っ白だったフェドチェンコ氷河や他の氷河が紫色になって表面が融け始めたり、縮小したりしたこと、左図で灰色や薄い紫色に見える露出した岩肌やモレーンが、右図では薄い緑色に見えており、植生に覆われたことが分かります。

図5 フェドチェンコ氷河の立体視用画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)
図5は「だいち」搭載のパンクロマチック立体視センサ(PRISM)がAVNIR-2と同時に2006年8月に捉えたものです。赤と青の色眼鏡をかけてみると、険しい峰々、深い谷そして谷底を流れる氷河の様子が手に取るように良く分かります。氷河が融け始めた領域(図1〜4において白から紫色に変わった領域)が標高の低いところであり、標高の高いところでは、まだ白いままであることが確認できます。



参照サイト:
赤青メガネの作り方について(「榛名山を立体視」付録参照)

観測画像について:
(図1〜4の左側)
観測衛星: 地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)
観測センサ: 可視近赤外放射計(VNIR)
観測日時: 1993年8月20日06時11分頃(世界標準時)
地上分解能: 18.3 m×24.2 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
 可視域の630〜690ナノメートル、近赤外域の760〜860ナノメートル、可視域の520〜600ナノメートルの各バンドに赤、緑、青色を割り当てているので、肉眼で見た色にほぼ近い色付けですが、植生の緑色がやや強調され、雪や氷が紫色がかって見える合成画像です。雪や氷は白または薄紫色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に見えます。黒はデータがないことを示しています。

(図1〜4の右側)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年8月26日06時04分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4 つのバンドで地上を観測します。図1〜4の右側は、バンド3(610〜690ナノメートル)、バンド4(760〜890ナノメートル)とバンド2(520〜600ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成したので、肉眼で見た色にほぼ近い色付けですが、植生の緑色がやや強調され、雪や氷が紫色がかって見える合成画像です。雪や氷は白または薄紫色に、森林は濃い緑色に、草地は黄緑色に、氷河湖は濃い紫色に見えます。黒はデータがないことを示しています。

(図5)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2006年8月26日午前06時04分頃(世界標準時)
地上分解能: 2.5 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
図5は後方視の画像(赤)と直下視の画像(緑と青)を用いています。左目で衛星の後方を、右目で衛星の直下を見るので、左側が衛星の進行方向になり、左側がほぼ南の方向に対応します。図1〜4では上側が北になっていますが、図5では右側がほぼ北になっているので、注意しましょう。

関連サイト:
アナグリフ方式による地形の実体視(国立沼津工業高等専門学校のサイト)
ALOS 解析研究ページ
パミール高原の大氷河:フェドチェンコ氷河
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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