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地球が見える 2006年

アフリカ最高峰、キリマンジャロ山を立体視

図1 AVNIR-2が捉えたキリマンジャロ山周辺
(Google Earthで見るキリマンジャロ山 (kmz形式、3.69MB、低解像度版))
図1は今年(2006年)6月に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)が捉えたキリマンジャロ山(標高5,895 m)の周辺です。右上にチュユル山脈が、中央やや左下にキリマンジャロ山が見えています。画像の下と右に雲が点在しています。キリマンジャロ山の山頂には、雪や氷原(あるいは氷河)が白または薄紫色に見えています。その周りを赤紫色の露出した岩肌、青紫ないし焦げ茶色の草原、濃い緑色の森林(ジャングル)、薄い緑色の草原、さらに薄茶色の植生がまばらな地域(サバンナ)が楕円形の輪になって、順に取り囲んでいます。これは、キリマンジャロ山が独立峰で、山頂と標高1,000 m前後の山麓との間にいろいろな気候帯が存在しているためです。
キリマンジャロ山は東アフリカ、タンザニアの北東部の国境近くの赤道直下(南緯3°5′)にあり、タンザニアの首都ダル・エス・サラームから北西に約400 km、ケニアの首都ナイロビの南約200 km、世界最大の淡水湖ビクトリア湖の東岸から南東に約500 kmのところに位置しています。
キリマンジャロ国立公園は1987年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界自然遺産リストに追加されました。

図2 キリマンジャロ山の山頂周辺
図2はAVNIR-2が6〜7月に捉えたキリマンジャロ山の山頂周辺の画像です。キリマンジャロ山を構成する3つの峰、シラ峰(標高3,962 m)、キボ峰、マウエンジ峰(標高5,149 m)が西から順に見えています。中央のキボ峰には白い氷原、丸い火口が見えており、アフリカ最高地点であるウフル・ピーク(標高5,895 m)があります。

図3 AVNIR-2によるキリマンジャロ山キボ峰の立体視用画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。)
  図3は6月14日と7月6日のAVNIR-2画像を用いたキボ峰の立体視用画像です。この画像を赤と青の色メガネを使って見ると、キボ峰が台地状に盛り上がっていること、火口の中央が凹んでいること、南側に外輪山があり、そこに最高地点があること、西側に険しい崖があることが分かります。
図左下とキボ峰北側の赤い部分は7月6日の雲で、図左上の水色の部分は6月14日の雲です。

図4 PRISMによるキリマンジャロ山キボ峰の立体視用画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。)
  図4は6月12日にPRISMで観測した直下視画像と後方視画像による立体視用画像です。
このため、この画像では北はほぼ右側になっているので、注意が必要です。やはり、赤と青の色メガネを使って見ると、図3で読み取れたキボ峰の凹凸に加えて、火口の周りがドーナツ状に盛り上がっていること、キボ峰の山腹のより細かな凹凸が見えます。

20世紀初頭には、キリマンジャロ山は山頂(キボ峰)全体が雪と氷に覆われていましたが、その後、急速にその面積は減少しつつあり、米国オハイオ州立大学のグループによると、2020年になる前に山頂の氷原が消えてしまう恐れがあるとのことです。



参照サイト:
赤青メガネの作り方について(「榛名山を立体視」付録参照)
キリマンジャロ山の氷河の後退について(米国オハイオ州立大学のサイト、英語版)

観測画像について:
(図1〜図3)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年6月15日08時19分頃(世界標準時)(図1周辺),2006年6月5日08時06分頃(世界標準時)(図1山頂),2006年6月14日07時39 分頃(世界標準時)(図2中央及び右、図3青緑) ,2006年7月6日07時48 分頃(世界標準時)(図2左、図3赤)
ポインティング角: 41.50°(図1周辺)、21.50° (図1山頂部)、-34.30° (図2中央及び右、図3青緑)、-21.50° (図2左、図3赤)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
 AVNIR-2は、衛星直下だけでなく、衛星進行方向に対して左右の斜め下方向に観測領域を変更できるポインティング機能を持っていて、4つのバンドで地上を観測します。
図1では、可視域のバンド3 (610〜690ナノメートル)、近赤外域のバンド4 (760〜890ナノメートル)、可視域のバンド1 (420〜500ナノメートル)の各バンドに赤、緑、青を割り当てているので、いずれも肉眼で見た色に近い色付けで植生をやや強調した合成画像です。雲や雪や氷は白ないし薄紫に、森林は濃い緑色に、草地や畑地は薄い緑色に、植生のまばらなところは茶色っぽく、露出した岩や土砂は紫に、水面(湖、沼、川など)は濃紺に見えます。
図2では、いずれも可視域のバンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、雲や雪や氷は白く、露出した岩や土砂は茶色っぽく、草地は緑がかって見えます。
図3では、6月14日観測のポインティング角-34.30°のバンド3 に青と緑を、7月6日観測のポインティング角-21.50°のバンド3に赤を割り当てて合成した画像です。衛星の進行方向と直交する方向のポインティング角の違いを視差として利用しているので、下側が衛星の進行方向となり、上側がほぼ北になります。

(図4)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2006年6月12日07時56分頃(世界標準時)
地上分解能: 2.5 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
 PRISMは地表を550〜720 nm(ナノメートル:10億分の1メートル)の可視域1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。また、標高データを含む地形データを取得するために3 組の光学系(望遠鏡)を持ち、衛星の進行方向に対して前方、直下、後方の3方向の画像を同時に取得します。
図4は直下(緑と青)と後方の画像(赤)を用いています。立体視の際には、右目で見る画像と左目で見る画像の角度の違い(視差といいます)を利用しますが、図4の場合、左目で衛星の後方を、右目で衛星の直下を見ることになるので、左側が衛星の進行方向になり、右側がほぼ北になります。

関連サイト:
アナグリフ方式による地形の実体視(国立沼津工業高等専門学校のサイト)
ALOS 解析研究ページ
榛名山を立体視
火山の上の天文台銀座:ハワイ島
地球が見える 陸地・地形

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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