地球が見える 2010年
火山を覆う氷河の島、アイスランド
図1 アイスランド全景
図1は、ALOS(だいち)が2010年3月15日から2010年4月29日にかけて撮影したアイスランドのレーダ画像合成図です。大西洋の北端にあるアイスランドは、「氷の島」というイメージとは異なり、それほど寒いところではありません。メキシコ暖流の影響で首都レイキャビックの年平均気温は摂氏5°ほどです。しかしその地形を見ると、島の中央を北北東から南南西にかけて、火山が続いています。ここは大西洋中央海嶺(ユーラシアプレートと北アメリカプレートの割れ目にできた火山山脈)の一部が海上に現れている場所だからで 一方、島のあちこちには「氷の島」をはっきりとイメージさせる氷河が残っています。その中で、画像右下に見えるヴァトナ氷河はヨーロッパ最大で、アイスランドの国土の8%(面積約8,100 km2)を占めるほどです。また他の氷河(中央部のラング氷河や南部のミーダルス氷河)を加えた全氷河面積は国土の約11%になります。画像から分かるように、これら大きな氷河は中央内陸部と南部に分布しています。 ![]() 後退する氷河現在、アイスランドのほとんどの氷河は後退を続けています。調査によると、ここ10年の氷河の後退は、1930年代と1940年代に気温が異常に高かった時と比べても早いスピードだそうです。 図2 ヴァトナ氷河南東部の拡大画像
(Google Earthで見るヴァトナ氷河南東部(kmz形式、5.63 MB高解像度版)) 図2左は2006年8月にALOS(だいち)が、図2右は1991年4月にLandsatがそれぞれ撮影したヴァトナ氷河南東部の拡大画像です。画像の中央、氷河の先端に青く見えるのがヨークルサゥルロゥン湖で、1960年頃に氷河が後退してできた新しい湖です。20年前の画像と比べると最近の氷河湖の面積が明らかに拡大していることが分かります。現在の面積は約20 km2、深さは約200 mあります。湖を拡大した図3では、15年間における氷河の後退と、大きな氷の塊が湖に浮かんでいる様子が見て取れます。 図3 ヨークルサゥルロゥン湖の拡大画像
![]() 火山を覆う氷河 アイスランドの氷河の下には火山が隠れています。ヴァトナ氷河の下にあるグリームスヴォトン火山は1996年10月に大爆発を起こしました。溶けた氷河は内部にたまり、およそ1ヶ月後に噴出し、氷河の塊を抱き込んだ濁流は橋を次々に破壊しました。島の沿岸を一周する幹線道路(リング・ロード)は10 kmに渡って水没したそうです。 図4 アイスランド南部の氷河
図4は2010年にALOS(だいち)が撮影したアイスランド南部の氷河です。ミーダルス氷河の下には活発なカトラ火山が隠れています。最初の爆発の記録は894年、最後の爆発が1918年だったそうです。その西側に隣り合う氷河がエイヤフィヤトラ氷河です。2010年4月にこの氷河の下の火山が爆発しました。その噴煙はヨーロッパ一帯を覆い、ヨーロッパの各地の空港が閉鎖されるという事態に陥ったことは記憶に新しい出来事です。 観測画像について![]()
図1は、PALSAR画像を白黒表示しています。概して、明るさがなめらかな部分は水域、細かく濃淡が変化する部分は陸域です。
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図2〜4は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
図2右および図3右は、米国地質調査所の画像検索サイト USGS Global Visualization Viewerから無料でダウンロードしたデータを用いました。可視域のバンド3 (630〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)、バンド1 (450〜520ナノメートル)に赤、緑、青色を割り当ててカラー合成したので、肉眼で見たのと同じ色合いとなります。 |