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陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)によるアイスランド火山噴火にともなう緊急観測結果

2010年4月14日(水)、アイスランドの首都レイキャビクの東に位置するエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山が噴火し、大量の火山灰の影響でイギリスやヨーロッパ各地の空の便に大きな影響が出ています。宇宙航空研究開発機構(以下、JAXA)では4月16、17日に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)*による緊急観測を実施しました。

図1は4月17日(土)22時10分頃(日本時間、以下同じ)に観測されたアブニール・ツーの全体画像です。灰色に見える大量の噴煙が火山の南側に広く拡散していると同時に、火口付近からも未だに激しく噴煙が上がっている様子が一目で分かります。白く見えるのは氷河と雲です。

図1:2010年4月17日22時10分頃(日本時間)に陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載センサ高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により観測された画像全体(ポインティング角:+12度、黄枠:図2拡大画像の範囲)

図1: 2010年4月17日に観測したアブニール・ツー画像
(クリックで拡大画像へ)
取得日時: 2010年4月17日 22時10分頃(日本時間)
センサ: AVNIR-2(アブニール・ツー)
ポインティング角度: +12°、黄枠: 図2拡大画像の範囲

図2は火山の火口付近を拡大した画像で、比較用として2008年7月19日に観測されたアブニール・ツーのほぼ同じ範囲を並べています。図2左の2010年4月17日の画像では、赤丸で示した火口付近から噴煙が勢いよく上がっている様子を確認することができ、また火口のすぐ北側に噴煙の影が太く映っていることから、未だに活発な噴火活動が続いていることが示唆されます。また、図2右の噴火前の画像と比較すると火口の東側でも降灰の跡が灰色に見えていることから、噴火の発生した4月14日から17日までの間に噴煙が東向きに流れていたことが考えられます。

図2:陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載センサ高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー)により観測されたエイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山火口付近の拡大画像(それぞれ約20km四方のエリア)、左:噴火後観測(2010年4月17日)、右:噴火前観測(2008年7月19日)

図2: エイヤフィヤトラヨークトル氷河の火山火口付近の拡大画像(それぞれ20km四方のエリア)
左:噴火後観測(2010年4月17日)、右:噴火前観測(2008年7月19日)

(クリックで高解像度画像へ)

なお、4月16日に観測した画像は残念ながら雲のため地表面の様子を確認することはできませんでした。
JAXAでは今後も当該地域を継続して観測する予定です。

*
高性能可視近赤外放射計2型(アブニール・ツー): 青域から近赤外域の電磁波を4つのバンドで観測することができる光学センサで、衛星直下を観測の際には幅70kmの範囲を地上10mで識別できる能力があります。また、東西44度まで観測範囲を変更することができるポインティング機能を有しています。今回の画像は西側から12度の角度で取得しました。

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