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地球が見える 2010年

北極海の海氷 過去2番目の小ささに肉薄

図1 AMSR-Eが捉えた2010年9月18日の北極海氷分布 図2 AMSR-Eが捉えた北極海の海氷面積の季節変動(2010年9月21日現在)

今年もまた、北極海の海氷域が融解最小時期を迎えました。衛星観測史上最小を記録した2007年(425 km2)以降、海氷面積は、一昨年(471 km2)、昨年(525 km2)と回復傾向にありましたが、今年は再び最小面積値が500万 km2を割りこみ、過去3番目に小さい481万 km2(2010年9月18日に記録された暫定値)にまで縮小しました。
図1は、AMSR-Eセンサが捉えた2010年9月18日の海氷分布の様子です。また、図2は2002年以降一日毎に観測された海氷面積の季節変化の様子を、年毎に色別の線で示しています。今年は、6月上旬から下旬までの間は、史上最小ペースで融解が進んでいましたが、7月に入り減少速度が鈍り、昨年と同じような減少曲線をたどってきました。しかし9月に入っても減少速度が衰えず、最終的に史上2番目の小ささを記録した2008年の面積付近にまで小さくなりました。

海氷面積曲線はすでに上昇を始め、海氷縁では結氷も始まりだしていますので、9月18日の面積がこのまま今年の最小面積となる見込みです。

図3 人工衛星がとらえた融解最小時期の北極海氷分布
(左:1979年、中央:2007年、右:2010年)

 図3は、AMSR-Eが捉えた今年の海氷分布の様子を、衛星観測史上最小面積を記録した2007年の分布、そして今から31年前(1979年)にNASAのSMMRによって観測された分布と比較した画像です。今年の海氷分布は、2007年に比べれば、東シベリア海に若干密接度の小さな海氷域が広がっていますが、31年前に比べると、シベリア沿岸海域からすっかり海氷がなくなっている様子が分かります。また、カナダの多島海付近の海に関しては、2007年よりも今年の方が、島と島の間に大きな水路ができている様子がわかります。


図4 人工衛星がとらえた北極海の曇天率偏差および海面気圧の分布
(上段:2007年、下段:2010年、左から順に6月、7月、8月)
実線は高気圧、破線は低気圧場の分布を示し、晴天が多いところが赤く、曇天が多いところが青く色づけされている。

 上述したように、今年の海氷面積減少は、6月に大きく進み、7月に一旦減速し、その後9月に再度加速するような特徴が見られました。これには、どのような要因が考えられるでしょうか。図4に、今年の6-8月の北極海上空の大気場(曇天率と海面気圧)の特徴を示します。今年の6月には、海氷面積が史上最小を記録した2007年に見られたような高気圧が北極海上空に張り出し、晴天率が高かった(つまり融解を加速する大気状態となっていた)様子が分かります。しかし、7月に入って大気場が低気圧に変わると、曇天率が高くなり、また、風の場も海氷減少を和らげる方向に吹くようになりました。その後、8月後半から再びカナダ寄りのボーフォート海を中心に高気圧場が張り出し、海氷減少を推し進めるように働いたと考えられます。9月に海氷が大きく減少したのは、近年、より薄くもろくなってきた海氷が、風による移動と収束(海氷が寄せ集められること)を受けたことにより、面積の減少となってグラフ上に現れたものと考えられます。

昨年、一旦回復しかけたようにみえた北極海の海氷ですが、今年再び大きな減少傾向を示しました(動画を御覧ください(2010/8/10〜2010/9/21)、GIF形式、4.63MB)。北極海氷面積の変動には、夏(融解)期の大気場だけでなく、秋-冬(成長)期の風や海流による熱輸送など、様々な要因が影響を及ぼしていると考えられており、そのメカニズムの解明には、長期継続的な観測が必要です。
JAXAでは、来年(2011年)度に、AMSR-Eの後継センサにあたるAMSR2センサを搭載した第一期水循環変動観測衛星(GCOM-W1)を打ち上げる予定です。 これにより、北極海の海氷、全球の降水量や土壌水分をはじめとする水循環に関係する地球環境量の変動を常時監視し、長期気候変動のメカニズム解明に貢献していくことを目指しています。

なお、北極海の海氷密接度の分布画像および海氷面積値情報は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極海海氷モニターwebページ上で日々更新を行い、公開しております。



観測画像について


(図1)
観測衛星: 地球観測衛星Aqua (NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2010年9月18日

 いずれもAMSR-Eの6つの周波数帯のうち、36.5 GHz帯の水平・垂直両偏波と18.7 GHz帯の水平・垂直両偏波のデータを元に、AMSR/AMSR-Eのアルゴリズム開発共同研究者(PI)であるNASAゴダード宇宙飛行センターの Josefino C. Comiso博士のアルゴリズムを用いて算出された海氷密接度を表しています。データの空間分解能は25 kmです。

(図3)
観測衛星: 地球観測衛星AquaおよびTerra (NASA)、Nimbus-7(NASA/NOAA)
観測センサ: 走査型多周波マイクロ波放射計 SMMR(NASA)、改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA) および 中分解能スペクトロメータ MODIS (NASA)
観測日時: SMMR:1979年9月5日
AMSR-E:2007年9月24日、2010年9月18日
MODIS:2007年、2010年の8月16日−9月15日

 海氷域はSMMR(米国雪氷データセンターより取得)、AMSR-Eの海氷密接度データを、また、陸域については1ヶ月間のMODISデータから晴天域の画像のみを抽出した画像を合成したものです(1979年のSMMR画像の陸域は2007年のMODIS画像を代用)。MODIS画像の色付けは、MODISの 36 のチャンネルのうち、いずれも可視域のチャンネル1(620 〜 670 nm) に赤、チャンネル2 (841 〜 876 nm) に緑、チャンネル3 (459 〜479 nm) に青を割り当てて合成しています。また、海氷がない海域は紺色になるように合成しています。元の画像の分解能は9 kmです。

緑色: 森林
白色: 積雪または海氷
茶色: 沙漠

(図4)
観測衛星: 地球観測衛星Terra (NASA)
観測センサ: 中分解能スペクトロメータ MODIS (NASA)
観測日時: 2007年、2010年の6-8月

 MODISの可視−熱赤外域の反射率・輝度温度データから曇天域を特定し、1か月間の曇天日の割合(曇天率)を算出した。画像は、2000年以降の曇天率の平均値からの差(偏差)をとったもので、晴天が多いところが赤く、曇天が多いところが青く色づけされています。元の画像の分解能は9 kmです。

本文ここまで。
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