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地球が見える 2007年

北極海の海氷 観測史上最少に

2005年9月22日 2006年9月14日 2007年8月20日現在 図1 AMSR-Eが捉えた2005-2007年の北極海域の海密度分布氷
  2005年9月22日
(史上最小面積)
2006年9月14日
(2006年最小面積)
2007年8月22日現在
図1 AMSR-Eが捉えた2005-2007年の北極海域の海氷密接度
今年も北極海の海氷が融ける時期を迎えています。「地球が見える」では、毎年、北極海の海氷面積の減少傾向についてお伝えしています※1, 2が、今年は、過去にも例のない速度で海氷面積が減少し続けています。
(参考:2007年8月16日付けJAXAプレスリリース「北極海での海氷面積が観測史上最小に」)。

図1は、海氷面積が最も小さくなる9月中‐下旬頃の最近2年間の海氷密接度の分布(左側、中央)と今年の8月22日現在の海氷密接度分布(右側)を並べたものです。まだ1ヶ月以上も前だというのに、今年の海氷分布は、史上最小面積を記録した2005年9月22日よりも小さくなっています。

なぜ今年は、このように融けるのが速いのでしょうか。今年の気象および海氷条件から推定される原因は、1)太陽が沈まない(白夜)6-7月の晴天率が高かったため、太陽光をより多くうけて海氷が暖められた、2)融解期を迎える前までに、極点に近い海域にまで薄い海氷が侵入し、融けやすい状態になっていた、3)夏季に海氷が融けてなくなった海域の海水温度が例年になく高くなっていた、ことなどが重なったと考えられます。

2005年4月15日 2006年4月15日 2006年7月15日
図2 2005-2007年4月15日の北極海域の海氷種別分布と海氷移動ベクトル
(ベクトルは前年12月-5月末の半年間の月平均)
図2は、AMSR-Eの「輝度温度」をもとに、過去3年間の4月15日頃の海氷を分類したものです。水色は古くて厚い氷(多年氷)を、ピンク色はできて1年程度の若くて薄い氷(1年氷)を表しています。また、海氷上に示した白い矢印は、前年の12月から5月末までの半年間に各海域の海氷が移動した方向と距離の月平均値を表しています。図2を見ると、海氷域全体の広さは2年の間にあまり大きく変動していませんが、水色で示された多年氷の割合が急速に減少している様子が分かります。この原因は、矢印を見ても分かるように、グリーンランド北東端に位置するフラム海峡を通した、多年氷の大西洋への流出が近年増加していることが一因となっていると考えられます。また、夏期に暖められた海水が、秋期から冬期にかけての海氷生成を遅らせることにより、海氷の成長が妨げられている(厚い氷ができにくくなっている)ことも原因として考えられます。

図3 AMSR-Eが捉えた北極海の海氷
図3は、2002年5月の打上げ以降AMSR-Eが観測してきた海氷面積の季節変動を示しています。例年、北極海における海氷面積の縮小は、9月の半ば頃まで継続します。今年、このままのペースで海氷面積が減少すれば、2005年の海氷面積の最小記録を大幅に更新することは間違いありません。8月に入り太陽高度の低下に伴い、北極域にふりそそぐ太陽光は徐々に弱くなってきましたが、依然海氷域周辺の海面水温は高温のままです。今後1ヶ月の間にどれだけの海氷が融けてなくなってしまうのか、注意深い観測が必要です。
なお、北極海の海氷密接度の最新画像および過去に観測された画像は、JAXAが米国アラスカ州立大学北極圏研究センター(IARC)に設置しているIARC-JAXA情報システム(IJIS)を利用した北極圏海氷モニターで日々更新を行い、公開しております。



観測画像について:
(図1及び図2)
観測衛星: 地球観測衛星Aqua (NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2005 9月22日、2006年9月14日、2007年8月22日
空間分解能: 25km
いずれもAMSR-Eの6つの周波数帯のうち、36.5 GHz帯の水平・垂直両偏波と18.7 GHz帯の水平・垂直両偏波のデータを元に、AMSR/AMSR-Eのアルゴリズム開発共同研究者(PI)であるNASAゴダード宇宙飛行センターの Josefino C. Comiso博士のアルゴリズムを用いて算出された海氷密接度を表しています。

観測衛星: 地球観測衛星Aqua (NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2005-2007年4月15日(ベクトルは前年12月1日-5月31日までの半年間のデータから作成した月平均値)
空間分解能: 25km
いずれもAMSR-Eの36.5 GHz帯および18.7 GHz帯の垂直偏波のデータを元に、海氷域を多年氷域、一年氷域に分類した画像です。海氷移動ベクトルは、各海域での海氷移動量を表しており、前年12月1日-5月31日までの半年間のデータから作成した月平均値を示しています。

関連サイト:
AMSR/AMSR-Eページ
北極海の海氷域に出現した巨大ポリニア ※1
縮小が進む北極海の海氷−2005年は観測史上、最小− ※2
地球が見える 北極・南極
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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