地球が見える 2004年
台風21号、今年8個目の上陸:
日本本土への年間上陸数の記録更新
台風21号(メアリー)は9月29日午前8時半ごろ、鹿児島県串木野市付近に上陸しました。図1は9月28日10時52分(日本時間)にアメリカの地球観測衛星Terraに搭載されたMODISによって観測された台風21号の画像です。台風に伴う高層の氷でできた雲が水色に見えています。図2は9月29日2時12分(日本時間)のAMSR-Eの準リアルタイム観測画像で、海面上の青色が濃い部分は大気中の多量の水蒸気を表わしており、台風の中心に向かって多量の水蒸気が流れ込んでいる様子が分かります。また、黄色い部分は、発達した雲を表わしており、台風の東側と中心のすぐ北側で強い雨が降っていることが推測されます。
また、図3は9月28日17時53分(日本時間)、熱帯降雨観測衛星 TRMM に搭載されている降雨レーダ( PR )で観測した地表面付近の降水量を、可視赤外放射装置( VIRS )で観測した雲画像に重ねたもの、図4は同時刻に TRMM に搭載されている TRMM マイクロ波観測装置( TMI )が観測した降雨量です。赤い地域ほど雨が強いことを示しており、台風の目にあたる地域では雨が降っていないことがわかります。 台風の本土への上陸は今年8個目となり、年間上陸数の記録(1990、93年の6個)をさらに更新しました。 今年は平年と比較して太平洋高気圧の勢力が非常に強く、台風は太平洋高気圧の縁をたどるように移動するため、本土へ上陸する台風が増えたものと思われます。 台風21号は9月21日にグアム島付近で発生して、太平洋高気圧の縁をたどるように北西に移動。26日に久米島付近を通過し、宮古島近辺で一時停滞しましたが、その後、上空の偏西風の影響を受け、進路を北東に変え、串木野市付近に上陸しました。 今後の進路は、日本列島の真上を進むことが予想されています。進路に当たる地域は大雨や土砂災害に対する厳重な警戒が必要です。また、大潮の時期にあたっているため、台風接近時や満潮時には高潮に対する厳重な警戒も必要です。
色付けは、 MODIS の 36 のチャンネルのうち、短波長赤外域のチャンネル7 (2,105 〜 2,155 nm) に赤、近赤外域のチャンネル2 (841 〜 876 nm) に緑、可視域のチャンネル1 (620 〜 670 nm) に青を割り当てて合成しています。このため、概ね次のように見えています。
関連サイト: TRMM台風データベース TRMM台風速報 AMSR-E台風速報 AMSR-E「今日の一枚」 MODIS「準リアルタイム画像」 |