現在、TRMM レーダの状態は非常に良く、またその技術的な校正も内部校正、能動型レーダ校正器、さらに無降雨時の海面散乱強度などから1 dB 以内で信頼できるとの結果が得られています。さらに、地上レーダと異なり、異常伝播やクラッターの影響が小さくデータが非常にクリーンであるという特徴も確認されました。
一方で、レーダの感度は限界があり弱い降雨が観測から漏れてこれが降雨統計にも数パーセントの誤差を含む可能性のあること、また上空の弱い降水粒子層を十分には観測できないらしいことなどの問題が指摘されています。また、クラッターにもアンテナサイドローブの影響と思われる極く弱いエコーが認められています。しかしながら、これらは素性が知れており、現アルゴリズムではクラッター除去処理が行われており、これらからTRMMレーダのデータの質は地上レーダなどと比較しても良いと考えられます。