ALOS基本観測計画 ユーザガイドライン
- PRISM / AVNIR-2 -


背景
ALOSでは、打ち上げ前の段階で、3つのセンサそれぞれに対して、系統的な基本観測計画が作成されました。その計画は、緊急観測、校正・検証計画に次ぐ優先度を持っています。

JAXAやALOS海外ノードが指定したデータ配布業者や研究公募を通して、ALOSに観測計画を提出しようと考えている各分野のユーザ(実利用ユーザ、研究者等)は、観測モードの競合を避けるために、基本観測計画に沿った要求を出すことを推奨します。 基本観測計画は他の一般の要求より高い優先度を持つことから、計画に沿った要求を出すことで高い確率でデータ取得が可能となります。

PRISM観測計画の特徴
PRISMの基本の観測モードは3方向視モードで、軌道方向に沿った向きに配置された3つの異なるセンサーによる、同時観測が行われます。PRISM3方向視モードの観測幅は35kmと狭いため、高緯度地域を除けば、任意の領域を隙間なく観測するためには、センサを衛星進行方向に対し垂直な方向に1.2°、-1.2°傾けた観測が必要となり、2回帰(96日)を要します。

AVNIR-2観測計画の特徴
AVNIR-2の基本観測モードは、下の表に示すように全て直下視となっています。

任意の領域に対し、AVNIR-2は2回帰で1回の観測頻度になっています。そのため、初めの回帰で(天候にかかわらず)観測が行われた場合、2回目の回帰では基本観測計画としての観測は行われません。AVNIR-2では1年に1回、全球観測を行う予定になっています。

AVNIR-2のデータ転送レートは、PRISMやPALSARのデータレートの半分ですむ事から、シナリオ以外の新規要求をAVNIR-2で出した場合、他の2つのセンサに比べ取得できる可能性は高くなります。

PRISMとAVNIR-2の回帰ごとの基本観測モード
Cycle # Start date PRISM AVNIR-2
1 Commissioning Commissioning
2
3 19-Apr-06 Cal / Val Cal / Val
4 4-Jun-06
5 20-Jul-06
6 4-Sep-06
7 20-Oct-06 +1.2° Nadir
8 5-Dec-06 -1.2° Nadir
9 20-Jan-07 +1.2° Nadir
10 7-Mar-07 -1.2° Nadir
11 22-Apr-07 +1.2° Nadir
12 7-Jun-07 -1.2° Nadir
13 23-Jul-07 +1.2° Nadir
14 7-Sep-07 -1.2° Nadir
15 23-Oct-07 +1.2° Nadir
16 8-Dec-07 -1.2° Nadir
17 23-Jan-08 +1.2° Nadir
18 9-Mar-08 -1.2° Nadir
19 24-Apr-08 +1.2° Nadir
20 9-Jun-08 -1.2° Nadir
21 25-Jul-08 +1.2° Nadir
22 9-Sep-08 -1.2° Nadir
23 25-Oct-08 +1.2° Nadir
24 10-Dec-08 -1.2° Nadir
25 25-Jan-09 +1.2° Nadir
26 12-Mar-09 -1.2° Nadir
27 27-Apr-09 +1.2° Nadir
28 12-Jun-09 -1.2° Nadir
29 28-Jul-09 +1.2° Nadir
30 12-Sep-09 -1.2° Nadir
31 28-Oct-09 +1.2° Nadir
32 13-Dec-09 +1.2° Nadir
33 28-Jan-10 -1.2° Nadir
34 15-Mar-10 +1.2° Nadir
35 30-Apr-10 -1.2° Nadir
36 15-Jun-10 +1.2° Nadir
37 31-Jul-10 -1.2° Nadir
38 15-Sep-10 +1.2° Nadir
39 31-Oct-10 -1.2° Nadir
40 16-Dec-10 +1.2° Nadir
41 31-Jan-11 -1.2° Nadir
42 18-Mar-11 +1.2° Nadir
43 3-May-11 -1.2° Nadir

ある回帰で、どの領域がどの観測モードで観測されたかの詳細な情報は、下のリンク先を参照してください。

ユーザガイドライン
JAXAやALOS海外ノードが指定したデータ配布業者や研究公募を通して、ALOSに観測計画を提出しようと考えている各分野のユーザ(実利用ユーザ、研究者等)は、観測モードの競合を避けるために、基本観測計画に沿った要求を出すことを推奨します。 基本観測計画は他の一般の要求より高い優先度を持つことから、計画に沿った要求を出すことで高い確率でデータ取得が可能となります。

すでに計画されている高優先度の観測計画を最大限に生かすため、そして要求の観測モードの違いによる競合を避けるためにも、以下に書かれた簡単な手順に従って要求を出すことを推奨します。

ステップ1: あなたの希望する要求領域と要求モードが、基本観測計画の中に含まれているかどうかをチェックしてください。

  • 上のから、都合のよい時期と観測モードの組み合わせを探し、その回帰番号を見つけてください。PRISMの場合、センサの傾き角(1.2°、-1.2°)に注意してください。
  • 上の表だけでなく、PRISM または AVNIR-2 のプロット図もご利用ください。

ステップ2、ケース1 (PRISM): あなたの希望する領域がPRISMの基本観測計画に入っていた場合

  • あなたの側から行うことはありません。そのエリアは基本モードですでに取得される計画になっています。
  • すでに基本シナリオで計画されている場所(と時期)に対して、異なる観測モードでその場所を出しても、観測モードの競合で取得することはできません。

ステップ2、ケース2 (AVNIR-2): あなたの希望する領域がAVNIR-2の基本観測計画に入っていた場合

  • 安全のために、取得要求を提出することをお勧めします(AVNIR-2の計画は2回帰で1回となっているため、2回帰のうちどちらで取得が行われるかがはっきりしないため)。
  •  
  • すでに基本シナリオで計画されている場所(と時期)に対して、直下視以外の観測モードで新規要求を出しても、観測モードの競合で取得することはできません。

ステップ2、ケース3: あなたの希望する領域が計画されていなかった場合

  • あなたは新しい観測要求を出す必要があります。PRISMの場合、に示された基本観測モードと観測時期に従って、要求を出すことを強く推奨します。
  • AVNIR-2の場合、直下視の観測モードを推奨します。

ステップ2、ケース4: あなたの希望する領域が計画されているかどうか分からない場合、または計画されている領域とされていない領域の境界にある場合。

  • 基本観測モードを、基本観測計画と同じモードにして、あなたの希望する領域の要求を出すことをお勧めします。
  • 観測モードが異なる要求は、競合のため取得することができません。

その他の情報

  • ALOSは1回帰(46日間)で671周(パス)、地球を回ります。
  • 8回帰が約一年(368日)になります。
  • 1-2回帰:初期チェックアウト期間
  • 3-6回帰:初期校正期間(厳密には6回帰途中まで)
  • 7回帰以降:定常観測期間(基本観測計画開始)
  • 打ち上げ前に行われた取得率の見積もりでは、基本観測計画(PRISM、AVNIR-2)の取得率は75~80%となっています。