地球が見える 2012年
タイ国の大洪水
タイ国では、2011年の7月から12月にかけて、タイ中部を中心に大洪水が発生しました。タイ内務省災害軽減局(DDPM)はセンチネルアジア及び国際災害チャータに対し緊急観測を要請し、フランス国立宇宙研究センター(CNES)の協力でSPOT-5が緊急観測を実施しました。本ホームページでは、2011年10月25日の“地球が見える”で、SPOT-5による緊急観測の結果を掲載しています。また“だいち最新画像”のコーナで、2011年9月24日から27日までに実施した航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR)による観測結果を掲載しています。 ここでは、我が国が2009年1月に打ち上げた温室効果ガス観測技術衛星「いぶき」(GOSAT)*に搭載されているCAI(雲・エアロソルセンサ)が2011年11月1日から12月25日までに観測した画像をアニメーション(図1)で見てみます。 図1 GOSAT/CAIが観測したタイ洪水画像のアニメーション
(2011年11月1日、11月13日、11月25日、12月25日) この洪水により、タイで稼働している日系企業の工場が甚大な被害を受けたことは記憶に新しいところです。 *)温室効果ガス観測技術衛星(GOSAT)は、地球温暖化の原因とされている二酸化炭素やメタンの濃度分布を地球表面に区切った測定ポイントで観測しています。雲・エアロゾルセンサ(CAI)は、この測定データを補正するために、雲の有無やエアロゾルを観測する画像センサです。 世界遺産、古都アユタヤ図2は、陸域観測技術衛星ALOS(だいち)に搭載されている高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2010年9月22日に観測したアユタヤの画像です。世界遺産に登録されているアユタヤは、14世紀中ごろから約420年のあいだアユタヤ王朝の都として栄えました。チャオプラヤー川とその支流に囲まれた地形は水運に恵まれ、17世紀はじめにはヨーロッパと東アジアを結ぶ国際貿易都市として繁栄しました。数多くの仏塔や寺院の跡が残っていますが、右下には工業団地も見えています。“だいち最新画像”コーナの、航空機搭載合成開口レーダ(Pi-SAR)によるタイ国における洪水観測結果について(その4)、でアユタヤ南部に位置する、日系企業の工場を多く含む工業団地の冠水の様子が掲載されています。 図2 アユタヤ周辺画像
(Google Earthで見るアユタヤ周辺(kmz形式、4.77 MB低解像度版)) 「だいち」(ALOS)運用終了2011年5月12日(午前10時50 分)、「だいち」の運用は終了しました。2006年1月24日に打ち上げられ、設計寿命3年、目標寿命5年を超えて運用され、地球観測に多くの成果をあげました。5年間で、全世界の650万シーンを観測し、災害緊急観測活動にも貢献しました。3月の東日本大震災でも400シーンの撮像を行い、10の府省と機関へ情報提供を行いました。今後も過去に取得した画像を用い、REDD+などに貢献する予定です。 観測画像について
TANSO-CAIは、温室効果ガス測定の誤差要因となる雲やエアロソルの観測を行い、温室効果ガスの観測精度を向上します。
AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図2は、可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。
(図2) |