地球が見える 2008年
魔女のすむ街・オーガスタ、アメリカ・ジョージア州
アメリカの東海岸には、アパラチア山脈東麓のピードモント台地沿いに海岸の平野に向けて地形が大きく変化し、滝が多く、海岸からの水路の終点となる瀑布線都市と呼ばれる街が点在します。 ここオーガスタも画像の左上から右下に向かって流れるサバンナ川の中流にあり、フィラデルフィアやワシントンDCと並ぶ瀑布線都市の一つです。世界でも有数の綿花市場として発展しました。現在では240kmほど西方に位置する州都アトランタ(人口42万人)に次ぎ、ジョージア州第2の都市(人口19万人)となっています。 サバンナ川に平行している運河は、1845年に水資源用に造られたオーガスタ運河です。 オーガスタは、今ではマスターズゴルフトーナメントが開催される場所としてあまりにも有名です。トーナメントが開催されるオーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブはオーガスタ市街の北西約5kmにあります。他の世界ゴルフ4大メジャートーナメントが毎年開催コースを変えている中、マスターズだけが毎年4月上旬にこの同じ場所で開催されます。2008年は4月10日から13日にかけて行われます。街の西方約7kmにダニエル・フィールド飛行場がありますが、ここは私設空港で出資者の他、マスターズに出場するゴルファーが利用するそうです。主要空港であるオーガスタ地域空港は、街の南方にあります。(図1には含まれておりません)
各ホールにはそれぞれ、オリーブ、ピーチ、アップルなどの植物の名前が付けられているように、多くの植物による色彩豊かなコースとなっています。 このコースは美しいだけではなく、非常に難しいコースとしても有名です。全体的に起伏が大きく高低差があり、コースに吹く風もくるくる変わることからトッププロを悩ませるコースとなっています。ホーガン・ブリッジの12番、ネルソン・ブリッジの11番、サラゼン・ブリッジの15番ホールなどの水際のホールが特に有名です。11番から13番ホールは1958年のマスターズで劇的なプレーが行われたことからアーメン・コーナーと呼ばれています。古いジャズのタイトル"Shouting at Amen Corner" から拝借したものだそうです。また、今年はこの名前がついて50年目です。 グリーンも非常に硬く、ボールスピードが速く設定されていることから「ガラスのグリーン」や「オーガスタのグリーンには魔女がすむ」とも言われており、多くの名選手を泣かせてきました。 このコースは、通常10月1日からオープンし、マスターズの直後にクローズしてしまいます。まさにマスターズのためだけにあるゴルフ・コースとなっています。なお、会員の数は300人程という本当に限られたプライベートコースで、プレーをするにはメンバーの同伴が必ず必要なため、一般の人がプレーするのはかなり難しいゴルフ場です。 なお、下側に見えるゴルフ・コースは別のゴルフ・クラブ(オーガスタ・カントリー・クラブ)です。オーガスタ・ナショナル・ゴルフ・クラブのコースは、この隣接するゴルフ・クラブの土地を一部買い取り、2002年に大幅改造されています。
サバンナ川沿いには遊歩道(River walk)が整備され観光スポットとなっています。1970年代後半、オーガスタの中心は街から郊外へ移り始めました。都市の荒廃に抗するため堤で隠れていた川沿いを遊歩道とし、街の再生を図ったのです。 オーガスタはゴルフだけではなく、医療の町でもあります。その中核をなすのがジョージア医科大学(Medical College of Georgia:MCG)です。MCGの放射線医学部門は全米でもトップ3に入るほどレベルが高く、癌、心臓血管系障害、神経科学、感染症等の治療研究を行っています。
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