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地球が見える 2005年

世界最大の海氷域・南氷洋 〜海洋深層水の生産工場〜

* 10日毎の画像はこちら(Quick time形式 3.89MB)

今回は南氷洋の海氷を取り上げます。
図はNASAの地球観測衛星Aquaに搭載されている日本のマイクロ波放射計AMSR-Eが捉えた南氷洋の海氷の年次変化の様子をアニメーションで示したものです。
北極海の海氷の場合と同じく、図では観測された海氷を白色で表し、描画範囲内の地形のうち海の部分を濃い青、陸(ロス棚氷など陸氷の海上への張り出しを含む)の部分を灰色で表しています。
北極では、1年のうち9月頃に海氷面積が最も小さくなりますが、南極では3月頃に最小となることが分かります。

また、北極の場合、周囲を大陸に取り囲まれている上に大西洋から暖流が北上してくることから、オホーツク海やハドソン湾など流入河川のある内海の周辺を除いて、冬季においても海氷が極圏(北極圏:アイスランドの北側の海岸線にほぼ相当する北緯66.6度線よりも北側の範囲)よりも南に張り出すことはほぼありません。
それに対して南極は、極圏(南極圏:図で南極大陸の右半分の海岸線にほぼ相当する南緯66.6度線よりも南側の範囲)をほぼ南極大陸が占めているので、夏季(1〜3月頃)には南極半島東側(図左上)のウェッデル海と図下のロス海を除いて海氷がほとんどなくなりますが、冬季(8〜10月頃)には海氷が極圏から500〜600 km(周南極海流の南側いっぱい)にわたって張り出し、その総面積は冬季の北極圏のそれを1〜2割上回って地球最大の海氷域を形成します。 この大量の海氷は、北極海の海氷と同じく海洋の大循環である「ブロッカーのコンベアベルト」を支えるエンジンの一つとして機能しています。

ここ20〜30年間にわたるアメリカと日本のマイクロ波放射計による観測結果によると、北極海の海氷は全体的に減少を続けていますが、逆に南氷洋の海氷は、南極半島西側(図左)の海域を除いて、全体的にわずかながら増加する傾向にあります。地球温暖化によるとされる気候への影響が北極と南極とで現在のところ正反対に現れている理由についてはまだ良くわかっていません。JAXAではこれからも衛星観測を通じて地球環境変動の観測を続けて行きます。


参照サイト
海洋大循環のうち熱塩循環(東京大学理学部地球惑星物理学科)


観測画像について:
観測衛星: 地球観測衛星Aqua(NASA)
観測センサ: 改良型高性能マイクロ波放射計 AMSR-E (JAXA)
観測日時: 2002年9月1日〜2005年6月1日の3ヵ月毎(図のFLASH動画)
2002年7月1日〜2005年7月11日の10日毎(図のQickTime動画)
いずれもAMSR-Eの6つの周波数帯のうち、36.5 GHz帯の水平・垂直両偏波と18.7 GHz帯の水平・垂直両偏波のデータを元に、AMSR/AMSR-Eのアルゴリズム開発共同研究者(PI)であるNASAゴダード宇宙飛行センターの Josefino C. Comiso博士のアルゴリズムを用いて算出された海氷密接度を表しています。空間分解能はおよそ20 kmです。

関連サイト:
犬ぞりで行けなくなる?北極点 〜減少を続ける北極海氷〜
南半球の素顔−孤立した南極大陸−
地球が見える 北極・南極のページ
AMSR/AMSR-Eページ

付録:
ブロッカーのコンベアベルト(続き):
北極域では、グリーンランド沖で海氷ができる際に、塩分濃度が高く比重の重い海水が生成されて自重で海底へ沈降して、海底の地形に沿ってより深いところへゆっくりと流れ下り、大西洋の海底を南下して、南アメリカ大陸と南極半島との間のドレーク海峡の東の海域まで至ります。しかし、南極周辺の海底は南アメリカ大陸方向(ドレーク海峡)とニュージーランド方向で浅くなっています(南半球の素顔−孤立した南極大陸−の図を参照)。このため、グリーンランド沖からやってきた深層寒流は浅いドレーク海峡を越えられずに東に移動していきます。一方、南極域では夏季にも海氷が失われることのないウェッデル海を初めとする沿岸海域の海氷により塩分濃度が高く比重の重い海水が生成されて海底へ沈降する(深層水)ことが知られており、深層水は上記の深層寒流と合流して、南極大陸の周りの海底を東に(時計回りに)回ります。そして一部はインド洋の深海へ、そして残りはニュージーランド南の浅海にせき止められる形で北太平洋へと自重によって流れ出していくのです。
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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