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地球が見える 2005年

南半球の素顔−孤立した南極大陸−


画像は、2003年の1〜3月にMODISがとらえた南半球の大陸および海氷分布の様子です。南極点の真上から南半球を見た配置になっており、南極大陸が中央に、南アメリカが左上に、アフリカは右上に、そしてオーストラリアが右下にそれぞれ見えています。また、画像中で海域および湖沼にあたる部分は、米国NOAA/NGDCから公開されているデジタル水深データ(ETOPO2)を使って、水深が深くなるほど青色が濃くなるような色付けで表現しています。

1〜3月は南半球の夏から秋にあたり、南極大陸周縁の海氷が融けて最も少なくなる季節です。このため、真っ白な南極大陸の形をはっきりと見ることができます。南極大陸の左上には、ウェッデル海に浮かぶ海氷が、下側にはロス海の海氷がやや灰色っぽい毛糸玉のように見えています。南極では、温暖化の影響が、夏期の海氷域の縮小や氷河の流速の増加や巨大氷山の増加といった形で、現れています。一方、オーストラリア大陸は大部分が茶色っぽい沙漠で、南アメリカやアフリカ大陸には、広大な緑(植生)や灼熱の沙漠が広がっており、真っ白で冷たい南極大陸と明瞭なコントラストをなしています。

海底深度を見ると、南極と他の大陸との間には深さ4,000mを越える深い海が広がって南極を環状に取り巻いています(南大洋と呼ばれています)。また、海底部分を良く見ると、濃い青の中に薄い青の筋がやはり南極大陸を取り巻くように走っていて、一方は左上の大西洋の真ん中を延び、また一方は左の太平洋の南アメリカ沖を延びていることが分かります。これらの筋は、海嶺と呼ばれ、海洋地殻(海洋プレート)が生まれるとともに地球内部(マントル)から熱が放出されるところです。海洋プレートが生まれる速度は太平洋の南アメリカ沖で年4〜10 cm、大西洋では年0.5〜4 cm、南極の周りで0.5〜1 cmです。太平洋が大西洋よりも大きいのは、この速度の違いのためです。

このように、先日「北半球の素顔」でご紹介した比較的遠浅の海で大陸同士がほぼつながっている北極海の周辺と比べると、随分様子が異なっていることが分かると思います。実際、南極を囲んでいる南緯40-60度帯の海域では偏西風が卓越しており、南極大陸を同心円に取りまきながら時計回りに西から東へ大きな海流が流れています(周南極海流あるいは南極周極環流などと呼ばれています)。周南極海流は、太平洋、大西洋、そしてインド洋の循環と結びつき、それぞれの大洋の水塊同士を混ぜ合わせて均質に保つ役割を果たしています。また、周南極海流の南極大陸側の境界では、逆向きに流れる内側の海流とぶつかりあい、栄養塩類に富んだ暖かい深層水を上昇させ、海氷の融解・凍結過程やオキアミなど海洋生物の生息環境の形成に大きな影響を及ぼしています*1。



*1 参考図書:「南極海 極限の海から」永延幹男(集英社新書)

観測画像について
(図1の陸域及び海氷部分)
観測衛星: 地球観測衛星Terra (NASA)
観測センサ: MODIS (NASA)
観測日時: 2003年1月1日〜3月9日
 
色付けは、MODISのチャンネル1〜3を用いて、チャンネル1(620〜670 nm)に赤、チャンネル2 (841〜876 nm)に緑、チャンネル3 (459〜479 nm)に青を割り当てて合成しています。このため、肉眼で見たよりも植生が強調されて見えています。元の画像の分解能は250 m(チャンネル1と2) 及び500 m (チャンネル3) です。極域は晴れていることが少ないので、上記の期間のデータから、計算機処理で晴れている部分を画素毎に選んで合成することによって、雲のない、つなぎ目の目立たない画像を作りました。このような画像は、雲なしコンポジット(合成) 画像と呼ばれます。
緑: 森林、草地
白: 雪または氷
黄色〜茶色: 沙漠、岩肌

関連サイト:
北半球の素顔−大地と海氷と海底−
北極・南極
巨大氷山の行方(続き)

本文ここまで。
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