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地球が見える 2014年

森林・非森林データセット〜温暖化対策に向けた今後の期待〜

Terra/MODISによって観測された2012年5月4日の海面水温
図1 AR5に向けたIPCCの体制
出典:IPCC WG1国内支援事務局/RESTEC

 二酸化炭素等の温室効果ガス増加に伴う地球温暖化の科学的・技術的・社会経済的な情報を評価し、その結果を世界の人々、とりわけ各国の政策決定者に伝えてきた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は(図1)、1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の協力により発足して以来、これまで4回評価報告書を発表し、2013〜2014年にかけて第5次評価報告書(AR5)の公表を予定*しています。2013年9月には、第1作業部会(自然科学的根拠)の評価報告書が発表され、新たな指標「累積炭素排出量に対する過渡的気候応答」が提示され、世界平均気温上昇が人為起源の二酸化炭素累積排出量にほぼ比例することが示されました。そこでは、1000GtCの二酸化炭素排出量当り、0.8〜2.5℃の世界平均気温上昇の可能性が高いと見積もられています。一方で、不確実性の低減といった課題は残されています。(参照1、2)。
また、10月には、時宜を得て国別温室効果ガスインベントリ(National GHG Inventories)**に関する2つの方法論***が更新されました。この中では、陸域観測技術衛星(「だいち」、Advanced Land Observing Satellite, ALOS)のデータの研究成果や地球観測政府間会合の活動が紹介されるなど、地球観測衛星およびリモートセンシング技術への期待が高まっています(参照3)。

 2014年1月17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、全球50 m分解能PALSARモザイク森林・非森林データセット(2007-2010)(新版 - V0)の提供を開始しました(参照4)。
JAXAでは、これまでに、ALOSが2007年から2010年に取得した全球PALSARデータを高精度処理して、25 m分解能の全球PALSARモザイク画像を作成してきました。また、それらを用いて全球の森林・非森林マップを試験的に作成してきたところ、この度、PALSARモザイク画像を地域毎・年代毎に詳細に評価し、光学衛星や現地データを参考とした分類を行い、新らたに森林・非森林マップ(検証済み版)を作成しました。

新森林・非森林マップ
図2 新森林・非森林マップ ( a) 2007, b) 2008, c) 2009, d) 2010 )
出典:JAXA/EORC

 図2は2007、2008、2009、2010の4年の森林・非森林マップです。森林・非森林マップは、森林土地利用の変化を把握し、陸域起源の地球温暖化の要因の時間と場所の特定や、途上国における森林の減少・劣化による排出の削減、炭素蓄積の保全、持続可能な管理、炭素蓄積の強化活動(Reducing the Emission from Deforestation and forest Degradation plus (REDD+))を推進する上で必要な基礎情報です。この森林・非森林マップは、3種類の検証データと比較した結果、約90%の精度に達することが確認され、光学センサによる土地利用土地被覆分類精度に匹敵する高い精度が達成され、曇天下での観測が可能な合成開口レーダの特色から、高精度かつ高頻度の観測が初めて実証されました。
これまでの精度評価は無作為抽出した地域のデータによるものであり、観測対象領域の森林の特性にもよることから、今後の改善の余地があります。世界各地の利用者から寄せられた利用上の改善提案等の情報提供によって、全球データセットとしての精度向上を図ることができ、ALOSの5年を超える定常観測ミッションに引き続き今年打上げ運用開始が予定されるALOS-2による観測への移行により、衛星の相互利用可能な長期継続的全球データセットの利用が期待されます。

<脚注>
*IPCC第5次評価報告書は、2013年9月に第1作業部会(自然科学的根拠)が公表され、2014年3月には、第2作業部会(影響・適応・脆弱性)、4月に第3作業部会(緩和策)、10月に統合報告書が発表される予定となっている。
**二酸化炭素(CO2)など地球温暖化の原因となる温室効果ガスについて、一国が一年間に排出あるいは吸収する量を示す。国連気候変動枠組条約(UNFCCC)や京都議定書の下で、締約国は、IPCCインベントリガイドラインに従って自国の温室効果ガスインベントリを作成し、公表する義務を負っている(参照5)。
***「2006年国別温暖化ガスインベントリ・ガイドラインに対する2013年追補:湿地」、及び「2013年議定書補足的方法論ガイダンス」




観測画像について


観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: フェーズドアレイ方式Lバンド合成開口レーダ(PALSAR)
観測日時: 2007年〜2010年
地上分解能: 50 m (25 m分解能の全球PALSARモザイク画像より作成)
地図投影法: 等緯度経度座標系
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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