地球が見える 2014年
森林・非森林データセット〜温暖化対策に向けた今後の期待〜
二酸化炭素等の温室効果ガス増加に伴う地球温暖化の科学的・技術的・社会経済的な情報を評価し、その結果を世界の人々、とりわけ各国の政策決定者に伝えてきた「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」は(図1)、1988年、世界気象機関(WMO)と国連環境計画(UNEP)の協力により発足して以来、これまで4回評価報告書を発表し、2013〜2014年にかけて第5次評価報告書(AR5)の公表を予定*しています。2013年9月には、第1作業部会(自然科学的根拠)の評価報告書が発表され、新たな指標「累積炭素排出量に対する過渡的気候応答」が提示され、世界平均気温上昇が人為起源の二酸化炭素累積排出量にほぼ比例することが示されました。そこでは、1000GtCの二酸化炭素排出量当り、0.8〜2.5℃の世界平均気温上昇の可能性が高いと見積もられています。一方で、不確実性の低減といった課題は残されています。(参照1、2)。 2014年1月17日、宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、全球50 m分解能PALSARモザイク森林・非森林データセット(2007-2010)(新版 - V0)の提供を開始しました(参照4)。
図2 新森林・非森林マップ ( a) 2007, b) 2008, c) 2009, d) 2010 )
出典:JAXA/EORC 図2は2007、2008、2009、2010の4年の森林・非森林マップです。森林・非森林マップは、森林土地利用の変化を把握し、陸域起源の地球温暖化の要因の時間と場所の特定や、途上国における森林の減少・劣化による排出の削減、炭素蓄積の保全、持続可能な管理、炭素蓄積の強化活動(Reducing the Emission from Deforestation and forest Degradation plus (REDD+))を推進する上で必要な基礎情報です。この森林・非森林マップは、3種類の検証データと比較した結果、約90%の精度に達することが確認され、光学センサによる土地利用土地被覆分類精度に匹敵する高い精度が達成され、曇天下での観測が可能な合成開口レーダの特色から、高精度かつ高頻度の観測が初めて実証されました。 <脚注> 参照サイト
観測画像について
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