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地球が見える 2010年

王朝の栄華をとどめるボロブドゥール遺跡

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図1 ボロブドゥール遺跡とその周辺

図1はALOS(だいち)が2008年6月に撮影したボロブドゥール遺跡とその周辺画像です。画像中央にはインドネシアで最も活発なメラピ山(2,968 m)が見えます。その西側でボロブドゥール遺跡は発見されました。インドネシア・ジャワ島のほぼ中央部にあるボロブドゥール遺跡は、世界最大級の仏教寺院として知られ、世界遺産にも登録されています。その壮麗さは、仏教遺跡としては、カンボジアのアンコール・ワットと並び称されます。

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図2 ボロブドゥール寺院の拡大画像
(Google Earthで見るボロブドゥール寺院(kmz形式、2.08MB、低解像度版))

図2は、ボルブドゥール寺院の拡大画像です。一辺がおよそ120 mの正方形の基礎部分に、方形の壇が5層、さらにその上に円形の壇が3層、合計9層の壇が重なり、約35 mの高さがあります。画像にはっきりと映っていることからも、その規模の大きさがうかがえます。
ボロブドゥール寺院は、厚さ20〜30 cmのブロック状の石を200万個近くも使って築かれています。「寺院」という名称はついていますが、わたしたちが想像するような寺院とは異なり、内部に空間はありません。土を盛った表面に石のブロックを積んでいったものです。
最も高い壇の中心には、釣り鐘の形をしたストゥーパがあります。ストゥーパというのは、ブッダ(釈迦)の骨とされる仏舎利を納める塔のことで、日本で墓などに立てる卒塔婆の語源です。このストゥーパの周りの円形の壇には、小さなストゥーパが並び、その中に仏像が置かれています。このほかに、方形の壇の壁のくぼみにも432体の仏像が置かれています。また、この回廊には、仏教の説話の場面がレリーフで描かれています。

ボロブドゥール寺院の建設

この壮麗な寺院が築かれたのは、8〜9世紀のことです。日本では、奈良時代から平安時代にあたります。当時この地には、シャイレーンドラという王朝が進出していました。シャイレーンドラ王朝は、インドから伝わった仏教を信奉し、その信仰を形にするためにボロブドゥール寺院を築いたものと考えられています。建設は、途中中断はあったもののおよそ50年にもおよびました。ちょうど、この少し前、日本でも東大寺の大仏建立という一大事業がおこなわれています。偶然の符合とはいえ、距離を隔てた2つの地点で、仏教への信奉に基づく建設が行われたことは興味深いことです。
ボロブドゥール寺院が完成したのも束の間、シャイレーンドラ王朝は、ジャワ島での勢力が衰えてしまいます。そして、仏教に替わって、シヴァ神を信奉するヒンドゥー教がさかんとなります。やがてボロブドゥール寺院も忘れ去られ、土の下で長い眠りにつくことになります。これには、火山灰に埋もれたとする説と、その後入ってきたイスラム教による破壊を避けるために埋めたとする説があります。
いずれにせよ、この壮大な寺院が再び人の目に触れるのは、およそ1000年が過ぎた1814年のことです。ジャワ総督代理だったイギリスのラッフルズとオランダ人技師のコルネリウスによって密林の中で発見され、19世紀から20世紀にかけて、発掘と復元が進められました。長年の傷みにより、崩壊の危機もありましたが、1973年からユネスコの主導により10年をかけて修復され、現在は、仏教徒の参詣地、そして、多数の観光客が訪れる観光地となっています。

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図3 ボロブドゥール寺院遺跡群

ボロブドゥール寺院から東に向かってほぼ等間隔にパオン寺院、ムンドゥッ寺院があり、ほぼ直線上に並んでいます。世界遺産には、これら3寺院をまとめてボロブドゥール寺院遺跡群として登録されています。かつてこの地には、さらに多くの仏教建築があったのかもしれません。

 壮大なストゥーパで天上をめざしたボロブドゥール寺院。こんにち、天上を周回するALOS(だいち)からその姿を見ると、かつて繁栄した王朝と、その信仰心に思いがいたります。



観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)及び
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2008年6月17日03時00分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明るい緑: 農地、草地
明るい青灰色: 市街地
茶色:
白: 道路、建物、雲

PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図2、3はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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