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地球が見える 2009年

砂漠化防止の研究に使われる鳥取砂丘

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図1 鳥取砂丘と周辺画像
(Google Earthで見る鳥取(kmz形式、4.34MB、低解像度版))

図1はALOS(だいち)が2008年11月に撮影した鳥取砂丘と周辺の画像です。画面中央の薄茶色の部分が鳥取砂丘です。中国山地の花崗岩が風化し、中央に見える千代川(せんだいがわ)により日本海へ流され、細かく砕かれた砂が海岸に集積してできた、我が国最大の海岸砂丘です。厳密に言えば、砂丘は千代川の東西、幅約16 km、奥行き約2 km程に広がっています。一般的には、観光地になっている、東側の幅約2 kmほどの地域が鳥取砂丘と呼ばれ、国の天然記念物に指定されています。
千代川河口の左側には鳥取空港が見えています。その左上、白砂の浜が続く海岸は、神話「因幡の白うさぎ」の舞台となった白兎(はくと)海岸です。近くには「因幡の白うさぎ」を祭った白兎神社があります。その下の青緑色の部分は湖山池(こやまいけ)です。砂丘により海と分離した汽水湖(海水と淡水が入り混じっている湖)で、近年、アオコの大量発生にみられる水質の悪化が心配されています。周囲約18 km、面積7.0 km2で池と名の付く湖の中で日本最大です。
画像中央、千代川に沿って青灰色の部分が鳥取市街地です。中心部に鳥取駅や県庁があり、県の中心地域です。市街東側、久松山の山頂部に鳥取城跡があります。ここには、戦国時代中頃の山城的遺構と、近世の城郭の遺構が併存しています。類例の少ないことから、学術的・歴史的にも貴重な城跡として、昭和32年(1957)に国の史跡に指定されました。鳥取城は、豊臣秀吉の兵糧攻めで有名です。現在は天守閣や二ノ丸跡などが残り、周辺は久松公園として整備されています。
画像右上の浦富海岸は山陰海岸国立公園に指定され、日本海屈指の景勝地として知られています。リアス式海岸が約15 kmにわたって続き、海食や風食によってできた奇岩、洞門、断崖絶壁が点在しています。また、この付近の海は透明度が高く、波が穏やかなときには、透明度は25 mにも達するそうです。

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図2 鳥取砂丘の拡大画像

  図2は、鳥取砂丘の拡大画像です。砂丘の中央あたりに“馬の背”と呼ばれる高さ40 mにも及ぶ丘があり、美しい風紋ができるところです。砂丘では、らくだに乗った遊覧、馬車の遊覧等の遊びができます。砂丘の右下に多鯰ヶ池(たねがいけ)が見えます。この池は、鳥取砂丘が谷をふさいだためにできたせき止め湖で流入・流出する川がないため、閉鎖水域となっています。最深部の深さは約15 mで中国地方で最深の池です。砂丘の東隣には、鳥取砂丘名産のらっきょう畑が広がっています。衛星画像からは農作物の生育状況がわかり、収穫時期の特定に使われています。

 砂丘の周囲には防風林が植えられ、風による砂の害を防いでいますが、これが砂丘砂の移動を妨げ草地化が進み、かえって砂丘の縮小化へつながっています。このため、防風林の抜木や植物撤去工事が行われています。衛星画像は砂漠の拡大といった環境保全対策に使われています。また、砂丘内には鳥取大学乾燥地研究センターが設置され、砂漠化の防止や緑化のための研究を進めています。鳥取砂丘はその環境を生かし、地球環境を守るための研究に役立っています。

なお、「だいち」の衛星画像は、(株)日本航空の「JAL MAP」などの地図の背景としても使われております。

鳥取大学乾燥地研究センター

鳥取大学乾燥地研究センターは、「乾燥地における砂漠化防止及び開発利用に関する基礎的研究を行い、この分野の研究に従事する国立大学教員等の利用に供すること」を目的に、1990年に設立された文部科学省指定の全国共同利用施設です。国内外の研究者や研究機関と共同研究を推進し、「乾燥地の砂漠化対処と持続的発展に資する学術研究に寄与」しています。画像中央やや左に見える白い円形の施設、アリドドーム(Arid Land Dome、「乾燥地のドーム」の略称)は、直径約37 m、高さ約16 m、面積約1,000 m2の半球状ドーム温室で、乾燥地のシミュレーション実験を行うことができます。



観測画像について

観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)および
パンクロマチック立体視センサ(PRISM)
観測日時: 2008年11月20日01時55分頃(世界標準時)(AVNIR-2、PRISM同時観測)
地上分解能: 10 m(AVNIR-2)および2.5 m(PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)

AVNIR-2 は、4つのバンドで地上を観測します。図は、いずれも可視域のバンド3(610 〜 690ナノメートル)、バンド2(520〜600 ナノメートル)とバンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、次のように見えています。

濃緑: 森林
明緑: 草地、農地
青灰色: 市街地
青色: 水域
薄茶色: 砂丘
茶色: 畑、裸地
灰色: 砂浜、道路
白: 波、雲、雪、建物

PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2の、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。図はこのように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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