地球が見える 2009年
紅い荒野に突如現れた首都、ブラジリア、ブラジル
図中央やや上、大きな飛行機の様な形をした都市がブラジリアです。ブラジル人ルシオ・コスタの設計による都市は2本の大通りを交差させ、人工湖や斬新なデザインの中高層ビル群を配置して、わずか3年半で築き上げられました。現在も奇抜なデザインの建物が加わり続けています。 現在連邦区となったこの一帯は、以前はセハードと呼ばれ、人口が希薄で、紅い土で覆われた、やせた土地でした。セハードとはポルトガル語で「閉ざされた地」の意味で、ブラジル中西部地帯に広がる灌木林地帯の植生の呼称です。面積は約2億ヘクタール(日本の国土面積の約5.5倍)で広大な未開の大地でした。図からはブラジリア周辺に広がる大地に多くの緑の農作地を見ることができ、セハード農業開発が政府の援助政策と相まって進展していることがわかります。
前方(東側)に人造湖であるパラノア湖があり、翼と湖の間には各国大使館や教育施設、各種スポーツ・娯楽施設がおかれ、さらに対岸は一戸建ての高級住宅地となっています。 図2左下に見える空港はブラジリア国際空港で、ブラジルの中心に位置することからハブ空港(各地に放射状に伸びた航空路線網の中心として機能する拠点空港)の役割を果たしています。
エイショ通りは中央の6車線の大通り(エイショ)とその両側にそれぞれ4車線の側道(エイシーニョ)からなっています。エイショ通りの両側に配置されたクアドラと呼ばれる240m四方の街区に、7階建ての集合住宅(ピロティ+住宅6階)が配置されています(ピロティ:2階以上の建物で、地上部分が柱を残した外部空間とした建築形式)。 1987年にブラジリアは世界文化遺産に登録されました。建設されて40年未満の都市が登録されるのは非常に稀な例ですが、「人類の創造的傑作を表現」し、開発途上国の模範となるべく期待が込められています。
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