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地球が見える 2007年

ルネッサンスの花が咲き誇ったフィレンツェ

図1 フィレンツェ周辺
全体画像
図1は2007年9月に観測したイタリア共和国中部トスカーナ州の州都フィレンツェ(英語ではフローレンス)周辺の画像です。古代にはイタリアの先住民族のエトルリア人によって街が建設され、ジュリアス・シーザと共に戦った老兵達の入植地として、花の女神フローラにちなみ名付けられた美しい街です。その後はフィレンツェ共和国の首都、トスカーナ大公国の首都、ハプスブルク家の支配、イタリア王国の首都と変遷を重ねてきました。
中央を右(東)から左(西)へ流れている川がアルノ川です。イタリア中部のファルテローナ山からイタリアの西側にあるテレニア海(地中海の一部)に流れ込んでいます。その河口にはピサの斜塔で有名なピサの街(フィレンツェの西77km、図には含まれていません)があります。
赤く見えるのがフィレンツェの市街地で赤いレンガ作りの屋根が数多く写し出されています。黄色や薄い緑色の部分は小麦畑や葡萄畑です。全体画像の下 (南)の方はワインで有名なトスカーナ州キャンティワインの産地が広がっています。濃い緑色の部分は広大な森となっており、自然に囲まれた古都の姿を際立たせています。左下には牛小屋という意味のフィレンツェ最大のカシーネ公園が見えています。左には小さいながらも国際空港であるアメリゴ・ヴェスプッチ(通称;ペレートラ)空港も見えています。

図2 フィレンツェ市街
(Google Earthで見るフィレンツェ (kmz形式、4.01MB、低解像度版))
図2はフィレンツェ市街の中心部です。ヨーロッパに多い赤い屋根を持つ中庭(パティオ)形式の町並みが形成されています。14-15世紀にイタリアを中心として古典・古代の文化の復興活動であるルネッサンス文化がイタリアのトスカーナ地方のピサやシエナなどの諸都市で花開きましたが、フィレンツェはその中心地でした。そのためルネッサンス時代の建築物が数多く、屋根のない博物館の街とも呼ばれています。
図中央にひときわ大きい建物群が見えますが、それがフィレンツェの象徴であるドゥオーモ(大聖堂)があるサンタ・マリア・デル・フィオーレ(花の聖母マリア)教会です。教会は、大聖堂、鐘楼そして洗礼堂で構成されており、13世紀から14世紀にかけて覇権を競っていたピサやシエナにある教会と同じような構成です。ピサは鐘楼である斜塔が有名ですが、フィレンツェは大きなクーポラ(イタリア建築でドーム状の屋根を意味する、内径 43m、高さ107m)を持つ大聖堂が有名です。
この大聖堂はフィレンツェ大聖堂、サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂、または単にドゥオーモと呼ばれています。建築当時は世界最大のクーポラでした。このクーポラを作ったブルネレスキはルネッサンスの象徴として多くの賞賛を浴びました。
大聖堂のファサード(正面)も白、ピンク、緑の大理石が鮮やかな幾何学模様を構成しており目をみはる美しさです。 82mの高さを持つ鐘楼はジョットの鐘楼と呼ばれますが、この鐘楼の建設を特に推し進めた建築者の名をとったものです。洗礼堂(サン・ジョヴァンニ洗礼堂)は八角形をしており、大聖堂よりも古く、大聖堂ができる前までは礼拝堂として用いられていました。
右の白っぽく見える丸い形の建物がドゥオーモのクーポラの部分、左の細長い部分も大聖堂の一部です。クーポラは強烈な陽射しが南東からあたっているため白っぽく見えますが、赤い煉瓦作りです。その左にある丸い(実際には八角形)建物が洗礼堂、そして大聖堂の左下にぽつんと見えているのがジョットの鐘楼です。
ドゥオーモのすぐ上には、サン・ロレンツォ教会があります。これもブルネレスキが手を加えています。ドゥオーモの下にはフィレンツェ共和国時代の政庁、メディチ家(1360-1737)の旧居城、そして今も市庁舎として使われているヴェッキオ宮が見えます。ヴェッキオとはイタリア語で古いという意味です。その下にはウフィツィ美術館があります。ウフィツィとは英語のオフィスの語源であり、メディチ家の一人であり、シエナを併合し、1569年に初代トスカーナ大公となったコジモ1世(1519-1574)が毎日通う庁舎でした。メディチ家断絶時、最後の相続人であったアンナ・マリア・ルイーザはメディチ家保有の美術品をフィレンツェ内に留め、一般に公開することを条件に何千点もの美術品を寄贈しました。
ボッティチェッリ、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロなどイタリアルネサンスの巨匠の絵画を中心に収蔵されています。もっとも広い部屋は、ボッティチェッリの間とも呼ばれ、サンドロ・ボッティチェッリ作の『ヴィーナスの誕生』が飾られています。建物全体は巨大なU字型をしています。ヴェッキオ宮と美術館の間の広場はシニョーリア広場です。
アルノ川をはさんで南岸にあるのがメディチ家の居城だったピッティ宮です。シンプルな作りですが巨大な住居です。広大なボーボリ庭園を保有しており、現在は美術館、博物館となっています。フィレンツェの銀行家ルカ・ピッティがドゥオーモのクーポラを設計したブルネレスキに建築を依頼し、16世紀にメディチ家が購入しました。
このピッティ宮とウフィツィ美術館との間にはポンテ・ヴェッキオという橋がかかっています。イタリア語で古い橋という意味です。 1345年に完成したフィレンツェでも最も古い橋です。この橋には政敵の多かったコジモ一世がウフィツィ庁舎に毎日安全に通うための専用の通路(ヴァザーリの回廊)が2階部分に作られています。現在はギャラリーになっています。
ボーボリ庭園の右にはフィレンツェの市街を見渡せる小高い丘のミケランジェロ広場があります。
図2の左上にはフィレンツェ駅、サンタ・マリア・ノヴェッラ(中央)駅が見えます。サンタ・マリア・ノヴェッラ駅のすぐ下にはサンタ・マリア・ノヴェッラ教会があります。教会なのですが、世界で最も古い薬局でもあります。1221年に修道院の修行僧たちが薬草を栽培したのが始まりです。1612年に薬局として認可され、メディチ家の王家御用達製錬所を経て、今日までオーデコロンや石鹸、ボディーケア製品を作り続けています。レオナルド・ダ・ヴィンチが3年間暮らし、モナリザの製作を行った場所としても知られています。
サンタ・マリア・ノヴェッラ駅の右にはアカデミア美術館があります。ここはミケランジェロが作った4mのダビデ像が有名です。元々はシニョーリア広場にあったものですが、1873年にアカデミア美術館に移されました。
フィレンツェは城壁で囲まれた街で数多くの塔や要塞があります。図にもバッソ要塞やベルヴェデーレ要塞が見えています。バッソ要塞は現在ではイベント会場、会議場として使用されています。ベルヴェデーレ要塞も小高い丘の上にありますので、フィレンツェ市街を望むのに良い場所です。図右にはサッカー場や野球場などの巨大なスポーツ複合施設も見えています。
フィレンツェの中心部はフィレンツェ歴史地区として1982年に国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産として登録されました。



観測画像について:


(図1、図2および全体画像、図をクリックすると二段階で拡大します)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: パンクロマチック立体視センサ(PRISM)(図2)及び高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)(図1、2)
観測日時: 2007年9月9日10時15分頃(世界標準時)
地上分解能: 2.5m(PRISM)、10m(AVNIR-2)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
PRISMは地表を520〜770 ナノメートル(10億分の1メートル)の可視域から近赤外域の1バンドで観測する光学センサです。得られる画像は白黒画像です。前方、直下、後方の観測を同時に行いますが、ここでは直下視の画像を使っています。
AVNIR-2は、衛星進行方向に直交する方向に観測領域を変更するポインティング機能を持っていて、4つのバンドで地上を観測します。このうち、バンド1 (420〜500ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド3 (610〜690ナノメートル)を青、緑、赤色に割り当てカラー合成したAVNIR-2画像を「色相(Hue)」、「彩度(Saturation)」、「明度(Intensity)」に変換(HSI変換)し、明度をPRISM画像で置き換えて再合成することで見かけ上、地上分解能2.5mのカラー画像を作成することができます。
図2は、このように高分解能の白黒画像と低分解能のカラー画像を組み合わせて合成された高分解能のカラー画像、つまりパンシャープン画像です。この組合せでは、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

濃い緑色: 森林、川
黄土色、薄い緑色:
赤: 市街地(屋根)
青っぽい灰: 市街地、道路、城壁
白:
黒: データのないところ、雲の陰

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
音楽とハプスブルク家の都、ウィーン
千年にわたり作り上げた水の都、ヴェネツィア
北西イタリア、トリノの街をクローズアップ
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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