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地球が見える 2006年

北西イタリア、トリノの街をクローズアップ

図1 GLI がとらえたイタリア周辺
長靴の形をしたイタリアの付け根に当たる北部はフランス、スイス、オーストリアと接しており、これらの国境地帯はアルプス山脈となっています。アルプス山脈と、イタリア半島を縦断するアペニン山脈に挟まれたところはポー平原で、その中央をイタリア最長のポー川が西から東へ流れ、アドリア海に注いでいます。ポー平原は肥沃な土地、豊富な水、交通の便に恵まれて、古くから豊かな穀倉地帯であり、近年はポー川上流のトリノやミラノで工業も発達し、イタリアの中でも経済的に豊かな地域となっています。

トリノはイタリア北西部のピエモンテ州の州都で、トリノを中心として間もなく第20回冬季オリンピックが開催されます。

図2 トリノ周辺と山岳地帯
図2の左側は1994年12月の画像で、標高の高いところは雪に覆われています。トリノの市街地は中央やや右上に黒っぽい紫色に見えています。ポー川の源流は図2左下のフランスとの国境に近いところにあり、ピネローロの南を東進し、トリノの市街地の東側を南から北東に流れ、また東進します。トリノの南側と北東側には畑地が広がっていることがわかります。トリノの東側の丘陵地帯はピエモンテ産ワインの産地となっています。

トリノ・オリンピックでは、トリノ市内で開会式、閉会式とスケート競技が、トリノの南西のピネローロでカーリングが、セストリエーレを中心とした山岳地帯でスキーやスノーボードなどの競技が行われます。

トリノの西のスーザ谷の入り口近くにはベネディクト派総本山のサクラ・ディ・サン・ミケーレ僧院があります。トリノの南のラコニージと南東のゴヴォネには、1997年に世界文化遺産に登録された「サヴォイア王家の王宮群」の城や公園があります。

図3 トリノ周辺
図3は図2の部分拡大図です。トリノ市街地の北にはトリノ国際空港が見えます。市街地の東の、市街地を一望できる丘の上にはサヴォイア家の墓所があるスペルガ聖堂があります。市街地の北西のヴェナリアとマンドリア、西のリヴォリ、南のストゥピニージとモンカリエリにも「サヴォイア王家の王宮群」の城や宮殿、公園があります。

サヴォイア公国の君主エマヌエーレ・フィリベルトは、1562年に首都をシャンベリ(現フランス)からトリノに移すことを決断しました。このことがきっかけとなってトリノとその周辺で17〜18世紀に数多くのバロック様式の建物が都市計画に基づいて建設されました。このため、トリノの市街地は碁盤の目のような整然とした街並みとなっています。サヴォイア公国は1720年にサルデーニャ島を獲得してサルデーニャ王国となり、1861年には近代イタリアの統一を果たしてイタリア王国となり、1865年に首都がフィレンツェに移されるまで、トリノはその首都の座を保ちました。

図4 トリノ市街地
図4は図3の部分拡大図です。図4左上にはスタディオ・デッレ・アルピが見えます。このスタジアムは、イタリアのサッカー・リーグ「セリエA」の名門チーム「ユヴェントス」と「セリエB」の「トリノ」の本拠地です。図4中央には線路と道路による傾いたUの字が見えます。「サヴォイア王家の王宮群」のうち、このUの字の右上の方に王宮、マダーマ宮殿、カリニャーノ宮殿などが、ポー川沿いにはヴァレンティーノ宮殿が見えます。王宮に隣接するドゥオーモはキリストの処刑後その身体を包んだと言われる聖骸布(せいがいふ)があることで有名です。Uの字の右上の方には、その他、高さ165mの塔を持ち、トリノのシンボルとなっているモーレ・アントネリアーナがあり、内部は国立映画博物館となっています。トリノはイタリアにおける映画産業発祥の地で、ヴェネツィアに次いで大規模な映画祭「トリノ国際映画祭」が毎年11月に開催されます。Uの字の右の端は、ポルタ・ヌオーヴァ駅で、国際列車や長距離列車が発着します。トリノ−ミラノ間はユーロスターで1時間半の道のりです。

Uの字の左下にはトリノ・オリンピックの開会式と閉会式が行われるスタディオ・オリンピコが、その隣にはアイスホッケーの試合が行われるパラスポーツ・オリンピコが見えます。その右下のリンゴット地区とその周辺にはスピードスケート会場で唯一新築されたオヴァル・リンゴット、フィギュアスケートとショートトラックスケートが行われるパラヴェーラ、アイスホッケー会場のトリノ・エスポジツィオーニがあります。

Uの字の下のリンゴット地区は、イタリア最大の自動車メーカーであるフィアットのリンゴット工場があったところで、1980年代に再開発が行われて、現在はコンサートホール、劇場、見本市会場、アート・ギャラリー、会議場、ショッピングモール、ホテルなどが入った複合施設となっています。フィアットは現在、自動車製造だけでなく、航空機製造、製鉄、出版、金融、建設、情報技術、レジャーなども手がける、イタリア最大の企業グループとなっており、1997年には、その本社を再開発されたリンゴット地区に移しました。その近くのポー川沿いのところには自動車博物館が見えます。図4の左下には、フィアットの巨大なミラフィオーリ工場が見えています。

図4左にはアレニア・スパツィオ社のトリノ工場が見えます。ここでは科学衛星、有人宇宙船と関連ペイロード、ロケットや宇宙輸送システムやそれらのサブシステムの開発が行われています。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)向けに、ここで製作された多目的補給モジュール「ラファエロ」は2005年7〜8月に飛行したスペースシャトル「ディスカバリー」に搭載されて、国際宇宙ステーションにドッキングし、水や食料、機材の輸送とゴミや不要品の回収が行われました。

間もなく打上げ予定の陸域観測技術衛星(ALOS)には地上分解能10mの高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が搭載されるので、より鮮明な最新の画像をお届けできる予定です。



参考サイト:
トリノ市公式サイト(英語版)
サヴォイア王家の王宮群(ユネスコのサイト、英語版)
日本オリンピック委員会の公式サイト


観測画像について:
(図1)
観測衛星: 環境観測技術衛星「みどりII」(ADEOS-II)
観測センサ: グローバルイメージャ(GLI)
観測日時: 2003年8月27日
地上分解能: 250 m
地図投影法: メルカトール図法
特殊なチャンネルの組み合わせで、短波長赤外域の2210ナノメートル(チャンネル29)、近赤外域の825ナノメートル(チャンネル23)、可視光の 545ナノメートル(チャンネル21)の観測データに、それぞれ赤、緑、青色を割り当てて合成した画像です。このため、次のように見えています。

緑: 植生
黒〜暗い青:
赤、茶色、ピンク: 沙漠〜普通の土壌および焼跡(非植生)
白: 水の雲
水色: 雪や氷、氷の雲


(図2〜図4)
観測衛星: 地球資源衛星1号「ふよう1号」(JERS-1)
観測センサ: 可視近赤外放射計(VNIR)
観測日時: 1994年10月24日(図2右、図3及び図4)
1994年12月8日(図2左)
地上分解能: 18.3 m×24.2 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
図2及びフレームA〜Cでは近赤外域の760〜860ナノメートル、可視域の630〜690ナノメートル、520〜600ナノメートルの各バンドに緑、赤、青色を割り当てているので、いずれも肉眼で見た色に近い色付けで植生をやや強調した合成画像です。雪や氷は白または薄紫色に、市街地は茶色っぽく、森林は濃い緑色に、草地や畑は薄い緑色に、北側の斜面は黒っぽく、水面は黒く見えます。データのないところも黒く表現されています。

関連サイト:
ギリシャ、アテネの街をクローズアップ
地球が見える 陸地・地形のページ

本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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