地球が見える 2006年
北西イタリア、トリノの街をクローズアップ
トリノはイタリア北西部のピエモンテ州の州都で、トリノを中心として間もなく第20回冬季オリンピックが開催されます。
トリノ・オリンピックでは、トリノ市内で開会式、閉会式とスケート競技が、トリノの南西のピネローロでカーリングが、セストリエーレを中心とした山岳地帯でスキーやスノーボードなどの競技が行われます。 トリノの西のスーザ谷の入り口近くにはベネディクト派総本山のサクラ・ディ・サン・ミケーレ僧院があります。トリノの南のラコニージと南東のゴヴォネには、1997年に世界文化遺産に登録された「サヴォイア王家の王宮群」の城や公園があります。
サヴォイア公国の君主エマヌエーレ・フィリベルトは、1562年に首都をシャンベリ(現フランス)からトリノに移すことを決断しました。このことがきっかけとなってトリノとその周辺で17〜18世紀に数多くのバロック様式の建物が都市計画に基づいて建設されました。このため、トリノの市街地は碁盤の目のような整然とした街並みとなっています。サヴォイア公国は1720年にサルデーニャ島を獲得してサルデーニャ王国となり、1861年には近代イタリアの統一を果たしてイタリア王国となり、1865年に首都がフィレンツェに移されるまで、トリノはその首都の座を保ちました。
Uの字の左下にはトリノ・オリンピックの開会式と閉会式が行われるスタディオ・オリンピコが、その隣にはアイスホッケーの試合が行われるパラスポーツ・オリンピコが見えます。その右下のリンゴット地区とその周辺にはスピードスケート会場で唯一新築されたオヴァル・リンゴット、フィギュアスケートとショートトラックスケートが行われるパラヴェーラ、アイスホッケー会場のトリノ・エスポジツィオーニがあります。 Uの字の下のリンゴット地区は、イタリア最大の自動車メーカーであるフィアットのリンゴット工場があったところで、1980年代に再開発が行われて、現在はコンサートホール、劇場、見本市会場、アート・ギャラリー、会議場、ショッピングモール、ホテルなどが入った複合施設となっています。フィアットは現在、自動車製造だけでなく、航空機製造、製鉄、出版、金融、建設、情報技術、レジャーなども手がける、イタリア最大の企業グループとなっており、1997年には、その本社を再開発されたリンゴット地区に移しました。その近くのポー川沿いのところには自動車博物館が見えます。図4の左下には、フィアットの巨大なミラフィオーリ工場が見えています。 図4左にはアレニア・スパツィオ社のトリノ工場が見えます。ここでは科学衛星、有人宇宙船と関連ペイロード、ロケットや宇宙輸送システムやそれらのサブシステムの開発が行われています。ヨーロッパ宇宙機関(ESA)向けに、ここで製作された多目的補給モジュール「ラファエロ」は2005年7〜8月に飛行したスペースシャトル「ディスカバリー」に搭載されて、国際宇宙ステーションにドッキングし、水や食料、機材の輸送とゴミや不要品の回収が行われました。 間もなく打上げ予定の陸域観測技術衛星(ALOS)には地上分解能10mの高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が搭載されるので、より鮮明な最新の画像をお届けできる予定です。
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