地球が見える 2007年
世界最大級の一枚岩ウルルと巨大奇岩群カタ・ジュタ:オーストラリア
図1右側の明るい所がウルルで、地上からの高さ約350 m、周囲約10 kmにも及ぶ世界最大級の一枚岩です。図1左側の明るい所がカタ・ジュタでウルルとは約30 km離れています。36の巨大な奇岩群からなり、一番高いオルガ山は高さ546メートルにも達します。日本ではあまりなじみがありませんが、その大きさと迫力は一枚岩のウルルとはまた違った魅力があります。 公園北側にあるユララ(エアーズ・ロック)・リゾートは宿泊施設が集められた町で、ウルル、カタ・ジュタ観光のための宿泊はここでしかできません。一番近い都市、アリススプリングスとは約450 km離れていて、プロペラ機だと40分、バスだと約5時間もかかります。ユララ(エアーズ・ロック)・リゾートの北にはコネラン空港が見えています。
ウルル周囲に見える太い線は周回道路で、細い線は観光用の歩道です。ウルルの周り9.4 kmを約4時間で一周できる『サーキット・ウォーク』では岩肌に残るアボリジニ・アートやアボリジニの人々が崇拝する岩などを見学することができます。その一部だけを1時間ほどで歩く『マラ・ウォーク』や『ムティジュル・ウォーク』ではアボリジニのロック・アートが見られます。 ウルルには登岩口が1ケ所ありますが、アボリジニの人々にとって聖地であり神の山でもあるため、パンフレットやホームページには登ることをやめて欲しい旨記述されています。 片山恭一の青春恋愛小説『世界の中心で、愛をさけぶ』では登場人物のひとりがアボリジニの世界観に惹かれ、中でも神聖なる地“ウルル”に憧れていたという設定でした。映画そしてドラマ共に、実際にオーストラリアでロケが行われたそうです。 ウルル−カタ・ジュタ国立公園の公式ホームページによると、ウルルの一枚岩は長石を多く含む、粒の粗い花崗砂岩で、カタ・ジュタの岩は丸い小石、玉石、巨礫が砂や粘土で固められた礫岩(れきがん)でできているとのことです。この場所はかつて浅い海で、およそ9億年前にできた地殻の窪みに数億年にわたって堆積物が積もり、その後の2回の造山運動や再び浅い海となった時の堆積などを経た後、風雨の浸食を受けて6,500万年前ころにウルルとカタ・ジュタの岩々が削り出されたものです。その際、周りの土砂よりも硬かった地層は侵食の度合いが少なく、その地層のみが残されました。
ヨーロッパ人が入植して以来、この地はオーストラリア人によって統治されてきましたが、1986年にアボリジニの人々に再び返還されました。現在この地域はウルル−カタ・ジュタ国立公園としてアボリジニの伝統的な所有者と環境・水資源省オーストラリア公園局により共同で管理されています。先住民族のアボリジニは2万年以上も前からここで生活を営み、聖地として崇めてきました。この地では現在もアボリジニの人々が暮らしており、国立公園への入場料はアボリジニの人々の生活の支えにもなっています。なお1987年にユネスコの世界自然遺産に登録され、1994年には世界最古の人間社会の伝統的な信仰様式としてアボリジニ文化の価値が認められて拡大登録され、世界複合遺産となりました。
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