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地球が見える 2006年

8,000m峰と氷河群(その6):ヒマラヤ、マナスル

図1 マナスル周辺の広域画像
(Google Earthで見るヒマラヤ・マナスル(kmz形式、1.88MB、低解像度版))
図1は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)に搭載された高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)が2006年11月に捉えたヒマラヤ山脈の8,000 m峰の一つ、マナスル(標高8,163 m)を含む山々です。白いところは雪や氷に覆われた標高の高いところや雲で、茶色っぽいところは乾燥して、岩肌や土壌が露出しているところ、焦げ茶色は枯れた草木がある標高のやや低いところです。南東から照らす太陽光のため、急峻な山頂や尾根は自身の陰を左上方向に延ばしています。図の大部分はネパール領内で、図の上方は中国、チベットです。図上のラトナ・チュリ(7,035 m)は国境線上にあります。
図右隅にマナスルが見えていますが、この名前はサンスクリット語で「霊魂、心」を意味する「マナサ」と「国、土地」を意味する「ルン」から作られました。世界第8位の標高のこの山の初登頂が槇有恒(まき ゆうこう)隊長率いる日本隊によって成し遂げられたのは、今からちょうど50年前の1956年5月9日のことでした。マナスルの南西にはツラギ(7,036 m)があり、その南にツラギ氷河と氷河湖が見えています。
図左下にはアンナプルナ山群に属するアンナプルナII峰(7,937 m)、III峰(7,555 m)、IV峰(7,525 m)が見えています。これらの山の北側と東側を取り巻くように流れるマルシャンディ川はやがてガンジス川に合流し、ベンガル湾に注ぎます。
マナスルの北西にはギャジ・カン(7,038 m)、ネムジュン(7,139 m)、ヒムルン・ヒマール(7,126 m)を含む山群があり、そこから長さ10 kmほどの氷河が数本流れ出しています。この山群の北西側に延びる山脈のところにも小さな氷河がたくさん見えています。

図2 マナスル周辺の立体視用画像
(目が疲れないように、あまり長い時間、見ないでください。カラー印刷してから見る場合は、pdfファイルをご利用下さい。左目用pdfファイル右目用pdfファイルも用意しました。)
図2は図1右の赤線で囲まれた部分をパンクロマチック立体視センサ(PRISM)が図1と同時に観測した直下視画像と後方視画像による立体視用画像です。この画像では北はほぼ右側になっているので、注意が必要です。赤と青の色メガネを使って見ると、図下のマナスルを含む急峻な山々、枝別れした深い谷、谷筋の上流を流れ下る氷河が手に取るように見えます。



参考文献:
ヒマラヤ名峰事典、平凡社、1996年

参照サイト:
赤青メガネの作り方について(「榛名山を立体視」付録参照)

観測画像について:
(図1及び図2)
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)(図1)
パンクロマチック立体視センサ(PRISM) (図2)
観測日時: 2006年11月27日05時10分頃(世界標準時)
地上分解能: 10 m (AVNIR-2)、2.5 m (PRISM)
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2は、4つのバンドで地上を観測します。図1は、いずれも可視域のバンド3 (610〜690ナノメートル)、バンド2 (520〜600ナノメートル)とバンド1 (420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当てカラー合成しました。この組合せでは、肉眼で見たのと同じ色合いとなり、雪や雲は白く、氷河は白ないし薄茶色に、露出した岩や土砂は茶色っぽく、枯れ草は焦げ茶色に見えます。

PRISMは地表を550〜720 nm (ナノメートル:10億分の1メートル)の可視域1バンドで観測する光学センサで、3 組の光学系(望遠鏡)を持ち、衛星の進行方向に対して前方、直下、後方の3方向の画像を同時に取得します。得られる画像は白黒画像です。
図2は直下視(緑と青)と後方視の画像(赤)を用いています。立体視の際には、右目で見る画像と左目で見る画像の角度の違い(視差といいます)を利用しますが、図2の場合、左目で衛星の後方を、右目で衛星の直下を見ることになるので、左側が衛星の進行方向になり、右側がほぼ北になります。図1では上側が北になっていますが、図2では右側がほぼ北になっているので、注意しましょう。

関連サイト:
8,000m峰と氷河群(その5):ヒマラヤ、ナンガ・パルバット
8,000m峰と氷河群(その4):K2、ブロード・ピーク、ガッシャーブルムI及びII
8,000m峰と氷河群(その3):ヒマラヤ、ダウラギリ
8,000m峰と氷河群(その2):ヒマラヤ、チョー・オユー
8,000m峰と氷河群:ヒマラヤ、シシャパンマ
地球が見える 陸地・地形のページ
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