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「だいち2号」によるネパール地震の観測結果について (5)

概要

  • ネパール東部で6月10日に急激な川の水位上昇が観測され、上流の氷河湖が決壊した可能性があったため、センチネルアジアよりだいち2号への緊急観測依頼がありました。
  • だいち2号 PALSAR-2による緊急観測を行いましたが、主な氷河湖において特異な変化は確認されませんでした。
  • JAXAではネパールの雨季が明ける9月までの間、だいち2号を用いて氷河湖の変化及び地すべりによる堰止湖形成の監視を継続して行う予定です。

2015年6月10日、ネパールの流量観測所の一つで、川の水位の急激な上昇が観測されました。上流にある主要な氷河湖の一つが決壊している可能性があったため、6月16日にセンチネルアジアを通じて宇宙航空研究開発機構 (以下、JAXA)へ緊急観測の依頼がありました。

地震後(2015年6月22日)と地震前(2014年9月29日、2015年2月16日)に取得されただいち2号のデータを用いて、上流にある主要な氷河湖の比較を行いましたが、特異な水面域の変化は確認されませんでした (図1)。

図1: ネパール地震後(2015年6月22日)に取得されたPALSAR-2データ画像
図1: ネパール地震後(2015年6月22日)に取得されたPALSAR-2データ画像 観測モード:高分解能10m(ビームF2-6)、赤、青:HH偏波、緑:HV偏波。青タグ:氷河湖
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ネパールでは6月~9月まで雨季となります。地震前から存在している氷河湖や地震後に地すべり/雪崩によって形成された堰止湖については、その突発的な崩壊による洪水の発生が警戒されます。JAXAでは今後も関係機関と協力し、天候に関係なく地表面を観測することができるだいち2号を活用し、雨季期間中の地すべりおよび堰止湖の監視を継続して行う予定です。本観測データおよび解析結果はセンチネルアジアを通じて、国際総合山岳開発センター(ICIMOD)に提供されました。

図2: ネパール雨季期間中に、だいち2号が観測を予定している場所
左:上昇軌道
左:上昇軌道
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右:下降軌道
右:下降軌道
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JAXA EORC