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2017年お知らせ

平成29年3月31日
国立研究開発法人
宇宙航空研究開発機構

衛星画像を用いた東日本大震災による福島県周辺の土地被覆の変化状況の把握

東日本大震災の影響により、福島県を中心とする広範囲で土地被覆が大きく変化しました。JAXAでは震災の発生前と後に取得した衛星画像を用いて、今回初めて広域的に変化を評価することができる土地被覆分類図(注1)を作成し、これを用いて震災による土地被覆の変化状況を分析しました。

本研究の成果は、震災の影響による広域的な土地被覆変化の詳細を初めて明らかにしたもので、平成29年3月31日18時(日本時間)に英国のオンライン科学雑誌「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)に掲載されました。

発表概要

JAXAは、衛星画像を用いて東日本大震災発生前後の福島県周辺の土地がどのようなもので覆われているかを分類した土地被覆分類図(注1)を作成し、震災による土地被覆の変化状況を分析しました。震災前は2006年から2011年にJAXAの陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)(注2)の観測画像、震災後は2013年から2015年にアメリカ航空宇宙局/アメリカ地質調査所のLandsat-8/OLI(注3)の観測画像を用いてそれぞれ土地被覆分類図を作成しました。

震災前後の分類図を比較した結果、水田が大きく減少し、草地が増加していることが明らかとなりました。特に、東北地方太平洋沿岸域と避難指示区域内(2016年4月時点)で水田が減少していることが確認できました。また、沿岸域の都市が津波の影響で減少し、裸地が増加していることも分かりました。今回得られた知見は、震災の影響評価や復興活動のための基礎データとして役立つことが期待されます。

本研究成果は、平成29年3月31日18時(日本時間)に「Scientific Reports」(Nature Publishing Group)に掲載されました。

今後、震災復興が進むと、さらなる土地被覆の変化が生じることが予想されるため、継続的なモニタリングを行うことが重要となります。衛星画像を使用したモニタリングは、広域的かつ長期的な変化を効率的に把握することができるため、JAXAでは今後も同様の手法による土地被覆分類図の作成を継続していきます。さらに、29年度に打上げ予定の気候変動観測衛星GCOM-Cや、平成32年度に打上げ予定の先進光学衛星、また他の衛星画像等を用いた継続的な解析によって復興活動に貢献します。

背景

JAXAではこれまでに「だいち」を用いた日本域の高解像度土地被覆分類図の整備を進めてきました。この土地被覆分類図は2006年から2011年3月までに取得された画像を使用して作成されたため、それ以降に変化した情報は反映されていませんでした。東日本大震災により福島県を中心とする広範囲で地震・津波・原発事故の影響により土地被覆が大きく変化したことが確認されており、これらの変化を広域的に評価することが大変重要でした。

研究の内容

東日本大震災発生前の2006年から2011年に観測された「だいち」と、発生後の2013年から2015年に観測されたLandsat-8/OLIの画像を用い、あらかじめ土地被覆が分かっている場所の情報から統計的な機械学習による推定手法を用いて土地被覆分類図の作成を行いました。(注4)それぞれの分類図は85 %以上の精度で、従来作成されている分類図と同程度の精度で分類できていることを確認しました。これら震災前後の2つの時期の分類図を比較したところ、震災前には水田であった場所が震災後に草地に変化していることが分かりました(図1)。水田から草地に変化した場所に色を付けると、沿岸域と避難指示区域内での割合が高いことがわかります(図2)。沿岸域では津波の影響により、避難指示区域では立ち入り制限によりそれぞれ水田の作付けが行われず、結果として水田が雑草などに覆われて草地に変化したと考えられます。また、沿岸域では津波の影響により都市が減少していることも確認できました。

社会的意義

今回得られた観測的知見は、震災の影響評価活動や復興活動のための基礎データとして役立つことが期待されます。これらの活動では、ベースマップとして土地被覆分類図が利用されています。このため、衛星画像から作成した高い精度の土地被覆分類図により、影響評価の精度が向上することが期待できます。衛星画像を利用することで、最新の土地被覆情報を比較的低コストで提供することが可能となり、復興計画の策定やハザードマップの作成などの復旧・復興活動においても活用が期待できます。

【論文情報】
雑誌名: Scientific Reports
論文タイトル: Land cover changes induced by the great east Japan earthquake in 2011.
著者: Ishihara, M. and Tadono, T.
DOI:10.1038/srep45769
論文のWebサイト

【用語解説】
注1) 土地被覆分類図:土地がどのようなもので覆われているかを分類した地図で、目的によって様々な分類項目が設定されますが、本研究では水域、都市、水田、畑地、草地、森林、裸地の7つの項目に分類しました。ここで、都市は人工的な構造物で覆われている場所、裸地は地上を覆うものがない土壌と定義しています。

注2) ALOS/AVNIR-2:JAXAが2006年1月に打ち上げ、2011年5月まで運用した陸域観測技術衛星「だいち」(Advanced Land Observing Satellite, ALOS)に搭載されていた高性能可視近赤外放射計2型センサ(Advanced Visible and Near Infrared Radiometer type 2, AVNIR-2)の名称です。地上を約10 m間隔で識別できる能力(解像度)があります。可視から近赤外域の観測波長を用いて、主に地域の環境監視等に必要な土地被覆分類や災害時の状況把握などに活用されています。

注3) Landsat-8/OLI:アメリカ航空宇宙局(NASA)とアメリカ地質調査所(USGS)によって2013年2月に打ち上げられた衛星Landsat-8に搭載されたOLI(Operational Land Imager)センサです。地上を約30 mの解像度で観測することができます。Landsatシリーズとして40年以上の観測を行っており、Landsat-8は現在も運用を続けています。

注4) 今回分類図を作成した範囲内で、実際に土地がどのような分類項目で覆われているかの情報(教師情報)を約800点分収集し、その情報を用いて衛星画像の数値情報の季節変化が統計的にどの分類項目に最も一致するかの確率から土地被覆分類図を作成しました。より詳細は以下の論文を参照下さい。
橋本秀太郎, 田殿武雄, 小野里雅彦, 堀雅裕, 塩見慶 (2014) 多時期光学観測データを用いた高精度土地被覆分類手法の開発, 日本リモートセンシング学会誌, 34 (2), pp.102-112.

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