高解像度土地利用土地被覆図ホームページ

日本域高解像度土地利用土地被覆図 2016年9月リリース版(バージョン16.09)

1. 概要

ALOS/AVNIR-2高解像度土地利用土地被覆図 (以下「本プロダクト」)は、日本全域 (一部の離島を除く) の土地被覆分類を算出したもので、植生調査や森林管理、土砂災害などの調査資料等の実利用分野や生態系研究等、様々なアプリケーションの基盤情報として活用することを目的として作成しています。
主たる入力情報は「だいち」(ALOS) 搭載の光学センサである高性能可視近赤外放射計2型 (AVNIR-2) の観測データであり、特に、幾何は正射投影 (オルソ) 補正、輝度は大気補正および斜面勾配補正を施した、AVNIR-2 High Level Product (AVNIR-2 HLP) と呼ばれるプロダクトを使用しています。また、分類カテゴリは主要な項目にとどめることで各ユーザの目的に応じたチューニングが可能な形としています。将来的には地球環境変動観測衛星 (GCOM-C) や次期高分解能光学センサ (先進光学衛星) による土地被覆分類図への利用拡大が期待されます。

今回リリースするバージョン16.09(v16.09)では、前バージョンであるバージョン16.02(v16.02)から、以下の改善を実施しました。

  • 東日本大震災後の画像の除去 (55 シーンのうちの東北地方太平洋沿岸部が含まれる箇所) : 図2参照
  • 位置ずれ画像の削除(18シーン)
  • 一部教師データ(土地被覆変化、誤ラベル、位置ずれ、重複が含まれる)の除去(1,696点)

その結果、バージョン16.02と比較して精度の向上が確認できました。

2. 使用したデータ

  • データ1. ALOS AVNIR-2 HLP (オルソ補正・大気補正・斜面補正済み高次補正プロダクト) 2,791シーン
  • データ2. ALOS PRISM 5m解像度 Digital Surface Model (DSM)
  • データ3. ALOS PALSAR 25m解像度 2008年 モザイクデータセット
  • データ4. 国土地理院数値地形データ 10m解像度と、そこから求めた傾斜のラスターマップ
  • データ5. Suomi NPP 夜間光データ 500m解像度
  • データ6. オープンストリートマップによる道路網・水路網・鉄道網・建物ベクターデータ (© OpenStreetMap contributors) から求めた、道路からの距離のラスターマップ
  • データ7. 北海道市町村ごとの水稲作付の有無情報 (出典: 農林水産省による「農林水産関係市町村別統計(平成26年産 水稲 北海道)」)
  • データ8. 教師情報 (SACLAJデータベースより。地上踏査および、インターネット上の情報判読) 18,636地点

3. 分類方法

  • データ1とデータ8を用いた、カーネル密度による尤度推定 (橋本ら 2014)
  • データ2を用いた、ALOS AVNIR-2観測時の地形性の日影の分布推定
  • データ3~データ8を用いた、カーネル密度による事前確率推定

以上を統合した、ベイズ推定と分類後編集 (目視) により分類しました。

4. データ形式

  • 座標系: 緯度経度直交座標系 (GRS80楕円体、ITRF94)
  • 格納単位: 緯度経度1度単位のグリッドタイル、12,000ピクセル×12,000ライン
  • メッシュサイズ: (1/12,000) 度 × (1/12,000) 度 (およそ10m × 10mに相当)
  • ファイル命名規約: 例えば、LC_N45E142.tifは北緯45から46度、東経142から143度を示します。
  • 格納形式: GeoTIFF形式
  • 対象期間: 2006年~2011年 ただし、2011年東日本大震災の影響は含みません (震災前までの状況)。この期間の特定時点ではなく、平均的な状況を表します。

各画素のディジタル値は分類カテゴリのID番号であり、下記の通りです:

  • #0: 未分類 (unknown)
  • #1: 水域 (water)
  • #2: 都市 (urban)
  • #3: 水田 (rice paddy)
  • #4: 畑地 (crop)
  • #5: 草地 (grass)
  • #6: 落葉広葉樹 (DBF)
  • #7: 落葉針葉樹 (DNF)
  • #8: 常緑広葉樹 (EBF)
  • #9: 常緑針葉樹 (ENF)
  • #10: 裸地 (bareland)
  • #11: 雪氷 (snow and ice)
  • #253: その他 (Other)
  • #255: データなし (nodata)

5. 精度検証および結果

SACLAJデータベースより、教師情報とは独立の1,409箇所の検証情報を用いて、本データ (v16.09) の精度検証を行った結果、10カテゴリで全体精度78.0%、κ係数0.745を得ました (表1; 注1)。

表1 コンフュージョンマトリクス (v16.09)
  Classified Producer's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL
Validation 1 193 1 1 0 0 0 0 0 0 2 197 98.0
2 2 222 2 1 0 0 0 0 0 2 229 96.9
3 1 2 260 18 6 2 0 1 0 1 291 89.3
4 1 2 28 76 41 4 1 9 1 5 168 45.2
5 0 0 10 14 42 4 2 8 0 1 81 51.9
6 0 1 2 8 5 74 13 15 13 0 131 56.5
7 0 0 0 0 1 1 11 0 1 0 14 78.6
8 0 0 0 0 1 5 1 32 16 0 55 58.2
9 1 0 0 1 0 11 4 30 167 0 214 78.0
10 0 2 1 1 3 0 0 0 0 22 29 75.9
TOTAL 198 230 304 119 99 101 32 95 198 33 1,409 ---
User's
accuracy (%)
97.5 96.5 85.5 63.9 42.4 73.3 34.4 33.7 84.3 66.7 --- Overall accuracy:
78.0%

参考情報として、同じ検証データを用いた前バージョン(v16.02)の精度検証結果を掲載します(表2; 注1)

表2 精度比較用のコンフュージョンマトリクス (v16.02)
  Classified Producer's
accuracy (%)
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 TOTAL
Validation 1 193 2 1 0 0 0 0 0 0 1 197 98.0
2 2 221 2 1 0 0 0 0 0 3 229 96.5
3 1 2 260 18 8 1 0 0 0 1 291 89.3
4 2 2 38 71 39 5 0 6 0 5 168 42.3
5 0 0 8 15 43 5 2 7 0 1 81 53.1
6 0 1 2 6 8 65 19 17 13 0 131 49.6
7 0 0 0 0 1 1 11 0 1 0 14 78.6
8 0 0 0 0 1 4 1 33 16 0 55 60.0
9 1 0 0 1 0 12 5 29 166 0 214 77.6
10 0 4 1 1 2 0 0 0 0 21 29 72.4
TOTAL 199 232 312 113 102 93 38 92 196 32 1,409 ---
User's
accuracy (%)
97.0 95.3 83.3 62.8 42.2 69.9 28.9 35.9 84.7 65.6 --- Overall accuracy:
76.9%
  • 注1: 精度検証は、母集団からのランダムサンプリングとは言いがたいため、κ係数も含めて、あくまで参考に留めておくことが望ましい。

次に、図1と図2に高解像度土地被覆図v16.09の一例を示します。

図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.16.09)
図1: 日本全域の高解像度土地利用土地被覆図 (Ver.16.09)

図2: 高解像度土地利用土地被覆図 v16.02(左図)と v16.09(右図)の震災後画像の削除による変化
図2: 震災後画像の削除による変化
v16.02の入力画像に含まれていた震災後の画像を除いた結果、
津波等の影響による誤分類が軽減されました。

図3: 高解像度土地利用土地被覆図 v16.02(左図)と v16.09(右図)の教師データの見直しによる変化
図3: 教師データの見直しによる変化
落葉樹の常緑樹への誤分類が軽減されました。

参考として、図4に図3と同範囲での光学画像を示します。

図4: 図3と同範囲でのAVNIR-2およびPRISMパンシャープン画像
図4: 図3と同範囲でのAVNIR-2およびPRISMパンシャープン画像 (フォールスカラー)

6. リファレンス

1) 橋本秀太郎, 田殿武雄, 小野里雅彦, 堀雅裕, 塩見慶 (2014) 多時期光学観測データを用いた高精度土地被覆分類手法の開発, 日本リモートセンシング学会誌, 34 (2), pp.102-112.

2) 片木仁,小林健一郎,田殿武雄,奈佐原顕郎 (2016) JAXA 日本域高解像度土地利用・土地被覆図の高精度化 (Version 16.09),日本リモートセンシング学会第61回学術講演会論文集,pp.87-88.[口頭発表資料]

3) 小林健一郎,奈佐原顕郎,田殿武雄,大串文美,道津正徳,段理紗子 (2016) 多時期土地被覆情報データセット“SACLAJ”の開発,日本リモートセンシング学会第61回学術講演会論文集,pp.89-90.[口頭発表資料]

Acknowledgements

  • Suomi NPP VIIRS Daily Mosaic Image and Data processing by NOAA's National Geophysical Data Center.
  • OpenStreetMap © OpenStreetMap contributors

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