地球が見える 2008年
太平洋を渡る様々なエアロゾル
この煙はエアロゾルと呼ばれる微粒子です。森林火災のように植物が燃えることによって発生するものや、工場や自動車など化石燃料を使う際に発生するもの、また黄砂のように砂嵐によって巻き上げられる砂粒もエアロゾルの一種です。 衛星画像でみられる煙にどのようなエアロゾルが含まれているかを数値モデルによるシミュレーションを行い調べてみました。衛星データから得られた火災域の情報から森林火災に伴って発生したエアロゾル量を推定し、これを数値モデルに入力し、エアロゾルが大気中を運ばれていく過程を計算しました。 図1の右列は数値モデルシミュレーションによって求められたエアロゾル量の分布です。緑色が森林火災によって発生したエアロゾルを、青色は燃料燃焼によって発生したエアロゾルを示しています。東アジアでは燃料の消費に伴って大量のエアロゾルが年間を通して排出されており、このエアロゾルと森林火災によって発生したエアロゾルが混ざりながら輸送されていく様子がわかります。さらに、この期間、森林火災によって発生したエアロゾルがアラスカ付近まで輸送されていくのがみてとれます。エアロゾルが長い距離を運ばれたのは、森林火災によって大量のエアロゾルが発生したこと、この期間の上空の風が強かったことなどが影響していたと考えられます。
図2下段の数値モデルシミュレーションにおいても26日、27日の砂嵐によって黄砂(赤色)が発生し、輸送されていく様子が再現されています。数値モデルでは、風速や土壌水分、積雪などから黄砂の発生量を見積もっています。また、森林火災によって発生したエアロゾル(緑色)や燃料燃焼によって発生したエアロゾル(青色)に加え、赤色で示した黄砂が北京付近を覆っていることがわかります。 このように、エアロゾルと言っても、その種類や発生源は様々です。空を流れる煙の中に混在する異なる微粒子の情報を衛星と数値モデルを組み合わせた解析から知ることができます。
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