地球が見える 2007年
幻想的なアルハンブラ宮殿のある街、スペイン、グラナダ
図下辺に見える濃紺の海は地中海です。コスタ・デル・ソル(太陽海岸)は、美しい海岸線が300km以上も続く世界有数の高級リゾート地です。その海岸に沿って白く輝く地域が目に付きます。これは太陽光を直接反射するビニールハウスの屋根が高輝度体として観測されたものです(注1)。特にトマトやピーマンなどの栽培が盛んなアルメリア地方は半島全体が真っ白に見え、施設栽培の規模の大きさが窺い知れます。
クラシックギターの不朽の名曲「アルハンブラの思い出」は作曲者のフランシスコ・タルレガ自身が宮殿を訪れ感銘を受けた中庭の噴水や壁に描かれたアラベスク文様をモチーフに曲を書いたと言われ、涼しげに絶えず聞こえる水音を想わせるトレモロ奏法による美しい曲として世界的に知られています。 宮殿の北側にはアルバイシンの街並みが広がっています。この街はイスラム時代を偲ばせる白壁の家々が細い坂道に立ち並ぶグラナダでもっとも古い街で、衛星画像からもその迷路のような複雑な街の佇まいが見てとれます。 南スペインの夏は暑さが厳しいことで知られていますが、グラナダはベガと呼ばれる肥沃な平野の中央に位置し、標高700m近い高地にあるため夏でも比較的過ごしやすい気候です。市内に目をやるとゴシック様式とルネサンス様式混合のグラナダ大聖堂やスペインならではの闘牛場、1531年創立のグラナダ大学を見ることができます。今日、グラナダの人口は約25万人で、そのうち約6万人を学生が占める大学都市としても有名です。 アルハンブラ宮殿とヘネラリーフェ離宮は1984年に、アルバイシン地区は1994年に優れた普遍的価値のある建築物として、国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産に登録されました。 グラナダは、イスラム文化とキリスト教文化が重層的に織り成された数々の文化遺産を有する、もっともスペインらしい雰囲気を漂わせた街です。
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