地球が見える 2007年
西遊記の世界、火焔山
図右には、西遊記で牛魔王と孫悟空が芭焦扇を巡って戦った火の山のモデルとされる火焔山があります。ウイグルの人々はクズルターダ(赤い山)と呼び、トルファンのシンボルとなっています。火焔山の最高峰は標高850mです。山と言っても一つの山ではなく、赤色砂岩でできた赤い岩肌が100kmに渡り屏風のように広がっています。火焔山の山肌には荒々しいシワが刻まれており、長い年月にわたる地殻変動と風雨による侵食によって作られました。今でこそ極端な乾燥地帯ですが、その昔にはこの土地にも雨がよく降ったようです。この地域では最高気温が48℃にも達し、陽炎が立ち上ります。陽炎により赤い岩肌のひだが揺れる様は、まさに燃え上がる火焔山そのものです。ただ、冬の1〜2月ともなると-4〜-16℃ととても寒くなります。本来の火焔山を見るのならば夏場が良いのですが、あまりにも暑いので体調にはくれぐれも注意した方がいいでしょう。
図2左のトルファン市街の西約15kmには巨大な軍艦を思わせる交河故城(こうがこじょう、ヤルホト)があります。高昌国と並び西域36国の一つとして権勢を誇った車師前国(しゃしぜんこく)の跡です。交河故城は断崖に彫刻して作られた町です。二つの河に挟まれた台地を利用した軍艦の形をした堅固な砦でしたが、車師前国は5世紀半ばに高昌国に滅ぼされました。その高昌国も唐に滅ぼされ、交河故城はその後、唐の砦となり14世紀にモンゴル軍によって破壊されるまでの間、西域の軍事拠点でした。
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