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地球が見える 2006年

平成の洛中洛外図、京都

(Google Earthで見る京都 (kmz形式、3.25MB、低解像度版))
全体画像
図は陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)搭載の高性能可視近赤外放射計2型(AVNIR-2)が2006年8月に捉えた京都市周辺です。図中央の方形(四角い)緑地は京都御苑です。63ヘクタールの広大な公園として市民の憩いの場となっています。そこには京都御所や建礼門前大通り、京都迎賓館をはっきりと見ることができます。御苑の傍を南北に流れる川は、京都北山を源とする賀茂川と高野川が合流して名を変える鴨川です。その川筋は「Y」の字のように見えます。図下部中央に周囲よりやや暗く見えるところがありますが、これは高層の薄い雲の陰を捉えたものです。

京都は貴重な文化財の宝庫です。平安建都1200年に当たる平成6年(1994年)に寺社および城17件を含む「古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)」が国際連合教育科学文化機関 (UNESCO)の世界文化遺産リストに追加されました。画像から容易に識別可能な寺社をいくつか紹介します。御苑の左下の小さな方形緑地は二条城です。城を廻る二重の掘割がくっきりと見えています。御苑の右上、賀茂川と高野川に挟まれた縦長の緑地には賀茂御祖神社(かもみおやじんじゃ)、通称、下鴨神社(しもがもじんじゃ)があります。その境内は原生林が残る美しい糺の森(ただすのもり)です。二条城の南、JR京都駅に近い堀川通りに面した緑地は本願寺、通称、西本願寺です。修復中の御影堂(ごえいどう)を覆う素屋根が真夏の強い太陽光を反射して一際明るく輝いて見えます。線路を挟んだ図左下の正方形の緑地は教王護国寺、通称、東寺です。境内の五重塔は有名ですが、解像度10mのAVNIR-2では残念ながら明確に識別はできません。

京都は三方を山に囲まれた山紫水明の地です。内陸部の都市にも拘らず、物資の流通を担う水運の面でも要となる土地です。鴨川は、嵐山付近から流れ出た桂川や琵琶湖を水源とする宇治川と合流し、淀川となって大阪湾に注いでいます。つまり、瀬戸内海とは河川によって結びつき、日本海や東日本とは琵琶湖を通してつながっているのです。この地が地政学的に都の造営に適していることは、今日では衛星から観測すれば一目瞭然ですが、古代の人々は山頂から俯瞰したのでしょうか、その豊かな構想力には驚かされます。

京都に平安京が遷されたのは794年、桓武天皇の治世です。鴨川を現在の位置に移し、その西側に内裏(皇居)と格子状の街路から構成された方形の都市を造営しました。四角い緑地が目立つのは、隋・唐の首都、長安(現在の西安)に倣った、その都市構造に由来します。現在の京都御所は往時の内裏の位置と異なりますが、朱雀大路南端の羅城門の東に建立された東寺は平安京造営当時と同じ場所にあります。都の内外を描いた洛中洛外図は戦国時代から京土産の贈り物として珍重されたことが知られています。衛星から撮られた広域画像は、白い雲がたおやかに浮かび、それは高度700kmの宇宙から俯瞰した平成の洛中洛外図のような趣を醸し出しています。



参照サイト:
世界遺産「古都京都の文化財(京都市・宇治市・大津市)」(京都市のサイト)
世界文化遺産(京都府のサイト)
日本の世界遺産リスト(社団法人日本ユネスコ協会連盟のサイト)

観測画像について:
観測衛星: 陸域観測技術衛星「だいち」(ALOS)
観測センサ: 高性能可視近赤外放射計2 型(AVNIR-2)
観測日時: 2006年8月10日10時48頃(日本標準時)
地上分解能: 10 m
地図投影法: UTM(ユニバーサル横メルカトール)
AVNIR-2 は4 つのバンドで地上を観測します。通常は、このうちバンド3(610〜690ナノメートル)、バンド2(520〜600ナノメートル)、バンド1(420〜500ナノメートル)を赤、緑、青に割り当ててカラー合成するので、肉眼で見たのと同じような色合いとなり、次のように見えています。

深緑色: 森林
緑色や黄土色: 草地、畑地
青っぽい灰色: 市街地、道路
青、暗い緑青: 水面(海、川、池)
白: 雲 、建物の屋根
黒: データのないところ
図は通常と異なって、緑にバンド2 の値× 80%とバンド4 の値× 20%の和を割り当てるという工夫をしました。緑色がやや強調され鮮やかに見えています。

関連サイト:
ALOS 解析研究ページ
地球が見える 陸地・地形
本文ここまで。
画像:人工衛星の情報を掲載 サテライトナビゲーター
画像:衛星利用の情報を発信 衛星利用推進サイト
画像:衛星から見た地球のデータ集
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